薬草の正しい使い方

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健康に役立つ四季の薬草
春の薬草1 夏の薬草1 秋の薬草1 冬の薬草1
春の薬草2 夏の薬草 秋の薬草2 冬の薬草


薬草(民間薬)は、人類の宝物だ

人類が誕生し文化的な生活を営み始めて以来、病気や怪我をしたときに、苦しさからと病気や怪我を治すのに役立つ物はないかと、周囲にある植物や動物や鉱物を試しに食べたり、飲んだりして薬草を見いだしてきた気の遠くなる苦しい長い歴史がある。 
 中国では神農(しんのう)が、日本では少名彦名命(すくなひこなのみこと)が、国中を調査し、多くの薬草を後世に伝えてきた。そのさいに幾人もの人々が病気をしたときに服用して、自分自身の身体で実験してみて、効果がハッキリしないもの、副作用の出るものは必然的に使われなくなっていった。 実際、多くの文献に記載されかつ、現在まで伝わり、病気に活用されているものは、幾年もの試練に耐えたもので副作用がなく効果が明確なものである。このような長い歴史の中で人類の先輩たちが苦労して見つけた薬草は、我々にとって本当に貴重な大切な宝物であると言えるでしょう。 そして薬草は薬の研究の原点であり、今でも多くの研究が進んでいる。近年中国では、国家レベルで中医薬大学を中心として新たな薬草の発見に力を入れています。

高齢化社会に向けての健康維持の第一歩は身近な薬草(民間薬)から

日本では今まで経験をしたことのない早さで高齢化が進んでいます。
民間薬は高齢者に於いては、とくに
「若々しく、元気で長生きしたい」との願いには適切です。 病気がまだ軽い時期や、病気が出てきそうな時に、お茶がわりに飲めば、病気が早く治るし、病気をしないで済むことにもなります。
この副作用が少なくて有効な薬草を、国民の貴重な文化遺産として、今後大いに活用されることが健康で長生きをするための秘訣です。 このような薬草すなわち民間薬(伝承生薬)は世界中で今現在活用されています。

薬草は人間が生活している世界各国で、その国独特の薬草があり、
現在でもその薬草を使って病気を治療している。

薬草から有効成分を抽出し化学薬品(新薬)を造り始めたヨーロッパ諸国、例えばドイツでは約900種、イギリスでは約700種もの薬草が今現在でも治療薬として日常的に使われています。薬局で一般薬を購入する際には新薬をがよいのか薬草がよいのかをまず尋ねられるといいます。ヨーロッパではこのように薬草が例えば「セネガは咳や痰の症状を緩和するために伝統的に使われてきた薬草である」などとラベルをつけて、日常的に煎じたり、振出しにして病人に飲ませています。その一部が最近はやりの「ハーブ」で、ラベンダーは精神を鎮める作用があり、欧米ではお茶として飲んだり、エッセンスを入れて入浴したりしています。ところが日本では、明治維新以後、漢方薬や民間薬など薬草を用いる有効な治療を残すことなく、新薬一辺倒に国が規定してしまいましたが、非常に残念なことです。

我々の身近には、健康に役立つたくさんの薬草がある

皆さんご存じの桃、実は漢方薬(中国では漢方と言わずに中医学といい、使う生薬は中薬、製剤化された物は中成薬といいます)として使われています。 種の中の仁は生薬名を桃仁といいます。効能はオ血(オはやまいだれに於と書きます、また、中医学では血オ)といい、血液が粘っこくなって血流が悪くなって起こる体調の不良によく用いられます。このオ血にならない様にする事は高血圧、糖尿病、脳血管障害、肝臓病など様々な生活習慣病(成人病)を予防する事にもなる訳です。また花は白桃花と呼んで使うことは希ですが強い下剤として使いられます。葉はあせもの妙薬として現在でも沐浴剤として親しまれていますね。


薬草を正しく効果的に使う上での注意

その1、「寒熱」=温めるか、冷やすか

薬草には暖める作用(程度の差により寒性や涼性に分けられる)、冷やす作用(程度の差により熱性や温性に分けられる)、暖めも冷やしもしない作用(平性)があります。たとえば胃腸が冷えて胃痛や不振などを訴える人が苦味健胃薬の薬草(苦みの生薬はその多くが冷やす作用なのです)を飲み続けると、胃がますます冷えて症状が改善するどころか悪化してしまうことが少なくありません。

その2、{燥湿}=乾かすか、潤すか

薬草には寒と熱の作用のほかに、乾かす作用(燥性)と潤す作用(湿性)があり、そのどちらでもない作用(平性)があります。日頃から水分をよく摂る人は、体の中に水気がだぶついていますが、潤す作用の薬草を飲み続けると体の中に水分が溜まってきて体調不良を訴えることがあります。また、咳止めの薬草で時々耳にしますが、咳には肺や気管支に水分が貯まって咳や痰がでる状態と、肺や気管支の潤いが足りなくて咳がでる場合がありますが、この場合に間違って飲むととても苦しい思いをします

その3、「帰経」=身体のどこに作用するか

飲もうとする薬草が体のどの部分に作用するかも大事な点です。漢方では肝・心・脾・肺・腎の5つを五臓と呼び、どの部分に異変があるのかを考慮に入れながら使う薬方を選びます。慢性肝炎に小柴胡湯やウコンを使ったり、麻杏甘石湯や南天実を咳に使うのがいい例でしょう。この場合でも寒熱などを間違って使うことは、いくら漢方薬とはいえ体調が悪くなる事が十分にあり得るわけで、また、薬草にも全く同様の事がいえます。
従って薬草を飲むときにも自分の体がどのような状態なのかを十分把握しておく必要があります。この点を間違わずに服用すれば薬草はあなたの健康維持にすばらしい恩恵を与えてくれるものです。

薬草の飲み方と煎じ方

◆用量について

とくに断りの無い場合は成人の1日量で示しています
   小児では、3歳では成人の1/3
     〃   、7歳では1/2
     〃   、12歳では2/3
を目安として考えます、また大柄だからといって多量に飲むこともしません  

◆抽出法

1.常煎法
日本では煎じる場合、おおむね水500ml(薬草の約20倍の水)で以て、その半量になるまで「とろ火」で、葉や草の類は約30分、木や根の類は約50分間、煎じあげ、出来上がったら熱いうちに滓を茶ごしやガーゼなどでこして、1日2~3回に分けて、温服する。服用時間は、食前または食間の空腹時というのが通例となっている
2.振出し法
1回分の薬草を湯飲みに入れ、これに熱湯100mlを注ぎ、5分程放置した後、かすをこして飲む
センブリやサフランやカモミールなどのハーブなどはこのようにして飲みます

◆飲み方

服用するのは食前か食間の空腹時というのが通例となっています。ただし、吐き気や出血の有る場合に温かいものを飲むと、吐き気や出血がひどくなる事があるので、冷えたものを少しずつ回数を増やしてのみます

◆粉末の服用法

ぬるま湯でそのまま服用します(沖服という)。
飲みにくい場合にはオブラートなどに包んで飲んでもかまいません。

◆煎じるための器(抽出器具

使用する容器は土瓶やゆきひらが最も良く、これらがなければ、ホーロー、アルミニウム製、アルマイト製の器でも差し支えありません。又、自動煎じ器を利用しても良いでしょう。ただし鉄製や銅製の器は化学変化を起こすために使用しないで下さい。

◆要注意、煎じ液の保存法

飲み残した煎液は腐敗し易いので必ず冷蔵庫にしまっておいて、飲むときに再度軽く温め直して服用します。煎液は栄養分が多いので特に夏場には半日で腐敗する場合もあります。

和法について

和法とは

中国伝来の漢方に対して、日本で古来より行われてきた民間療法の発展したもので、数種類の薬草を用いて、治療に効果を上げているものをさして「和法」といいます。良く用いられているものを次に例をあげてみる。

1.糖尿病に

タラ根皮、連銭草、枇杷葉 各5g、水煎し3回に分け温服する。
更にフジバカマ5gを加えてもよい。

2.浮腫に

ヒガンバナ、トウゴマ 同量を皮を去りすりつぶして土踏まずに貼り、
乾いたら貼り替える。最低でも1週間は続ける

薬用酒について

広口びんに薬草を入れ、35°のホワイトリカーを注いでしっかりとフタをして冷暗所に保存します。有効成分が多く出るように最低3か月から6カ月間熟成させます。

◆飲み方

アルコールが強いので飲むときには必ずうすめて飲むようにします。
薬酒10mlに水30~50ml加えて下さい。
特に胃の調子の良くない者は必ずうすめて飲んで下さい。
飲むときに蜂蜜などで味を調えると更に飲み易くなります。
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