東洋医学では自然の現象をとてつもなく長い期間、観察して、その結果、5つの事象に分類して物事を考えてきました。陰陽五行説といいます。人体(病気)にもその理論を当てはめてたものが次の表(五行色体表)であります。しかし、時代によりその理論が細かい点で幾分異なってもいます。が余り細かいことは抜きにして、相対的に全体を観察することが、漢方の理論を理解する上では大事と考えています。 私は、この表を基本にして、治療や養生指導をしています。実際に治療成績が上がることを良く経験します。 五蔵の病気の特徴を簡単に例をあげてみましょう ●肝臓に傷害のある型は、顔色が青く、眼光に異様な光があって、目がつり上がっていたり、怒りっぽい性格で、酸っぱいものを好みます。又春になると病気が悪くなったりします。 ●心臓に病気の素因があるものは、赤ら顔で、舌がもつれて言葉尻がはっきりせず、性格は陽気でよく笑い(喋る)、苦みのあるものを好み、病気は夏に属します。平素陽気で多血質なひとが突然心臓麻痺や脳溢血などの循環器系の疾患を患ってしまうコトがあります。 ●脾(胃腸)が弱かったり、傷害がある人は、顔色は黄色を帯びています。日本人を始め、中国人や韓国人などモンゴルの血を引く東洋人は貧血気味になると顔色が黄色っぽくなります。日頃より物事を思い過す性格ですが、よく物忘れをします。唇が厚く時々熱っぽく腫れたりします。甘い味が好きで、病気は四季の土用に属し、俗にいう季節の変わり目(季節と季節の変わり目の18日間)に体調を崩しやすいのです。 ●肺に故障のある人は、顔色が白く(蒼白で)、常に憂いがちな性質です。ピリ辛い味が好きで、皮膚が弱い。鼻がグズつくような人が多いです。肺の病気は秋に属すので、秋口に呼吸器病が悪化します。 ●腎臓に病気があると、顔色は黒く(土色のよう)、性格は神経質であったり、臆病で驚きやすかったりします。耳の異常を起こしやすく、塩辛い味(鹹:しょっぱい味)が好きで、冷え性(特に足腰に顕著)です。病気は冬に属すので、冬になると膀胱炎を起こしやすかったりします。 |
東洋医学では自然の現象を長い間の観察より5つの事象に分類して物事を考えてきました。陰陽五行説といいます。人体(病気)にもその理論を当てはめてたものが次の表であります。しかし、時代によりその理論が細かい点で幾分異なっています。が細かいことは抜きにして全体を観察することが漢方の理論を理解する上では大事です。私は日常この表を元にして治療や養生指導の元としていますし、実際に治療成績が上がることを良く経験します。 |
五蔵の病気の特徴を例をあげてみましょう ●肝臓に傷害のある型は、顏色が青く、眼光に異様な光があって、目がつり上がっていたり、怒りっぽい性格で、酸っぱいものを好みます。又春になると病気が悪くなったりします。 ●心臓に病気の素因があるものは、赤ら顔で、舌がもつれて言葉尻がはっきりせず、性格は陽氣でよく笑い、苦みのあるものを好み、病気は夏に属します。平素陽気で多血質なひとが突然心臓麻痺や脳溢血などの循環器系の疾患を患ってしまうコトがあります。 ●脾(胃腸)が弱かったり、傷害がある人は、顏色は黄色を帯びています。日頃より物事を思い過す性格ですが、よく物忘れをします。唇が厚く時々熱っぽく腫れたりします。甘い味が好きで、病気は四季の土用に属し、俗にいう季節の変わり目(季節と季節の変わり目の18日間)に体調を崩しやすいのです。 ●肺に故障のある人は、顔色が白く(蒼白で)、常に憂いがちな性質です。ピリ辛い味が好きで、皮膚が弱い。病気は秋に属すので、秋口に呼吸器病や鼻の調子が悪化します。 ●腎臓に病気があると、顏色は黒く、性格は神経質であったり、臆病であったりします。耳の異常を起こしやすく、塩辛い味(鹹:しょっぱい味)が好きで、冷え性(特に足腰も弱い)です。病気は冬に属すので、冬になると膀胱炎を起こしやすかったりします。
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◆ | 木 | 火 | 土 | 金 | 水 | 五性を示す |
五臓 | 肝 | 心 | 脾 | 肺 | 腎 | 臓器の種類 |
五腑 | 胆(嚢) | 小腸 | 胃 | 大腸 | 膀胱 | 臓器の種類 |
五竅 | 目 | 舌 | 唇(口) | 鼻 | 耳 | 器官の種類 |
五主 | 筋(膜) | 血脈 | 肌肉 | 皮毛 | 骨髓 | 五蔵が栄養を補充するもの |
五支 | 爪 | 面色 | 唇(乳) | 毛 | 髪 | 五蔵の精気がその色沢に発する所 |
五色 | 青 | 赤 | 黄 | 白 | 黒 | 五蔵の論理的配当 |
五味 | 酸 | 苦 | 甘 | 辛 | 鹹 | 五蔵の要求する食味 |
五悪気 | 風 | 熱 | 湿 | 燥 | 寒 | 五蔵を損傷する天の邪氣 |
五志 | 怒 | 笑(喜) | 思 | 悲(慮) | 恐(驚) | 五蔵に発する感情 |
五声 | 呼よびさけぶ | 言わらう | 歌うたう | 哭なきさけぶ | 呻うなる | 病人の出す声 |
五液 | 涙 | 汗 | 涎 | 涕 | 唾 | 五蔵の主る所 |
五変 | 握にぎる | 憂うれう | 歌しゃっくり噎 | 咳せき | 慄ふるえ | |
五神 | 魂 | 神性 | 意智 | 魄 | 精志 | 精神の配属 |
五穀 | 麦 | 黍 | 粟(稗) | 稲 | 豆 | 薬用としての穀物 |
五畜 | 鶏(犬) | 羊 | 牛 | 馬 | 豚 | 薬用としての家畜 |
五菜 | 韮 | 薤 | 葵 | 葱 | 藿まめのは | 薬用としての野菜 |
五果 | 李 | 杏 | 棗 | 桃 | 栗 | 薬用としての果実 |
五経陰 | 足厥陰 | 手少陰 | 足太陰 | 手太陰 | 足少陰 | |
五経陽 | 足少陽 | 手太陽 | 足陽明 | 手陽明 | 足太陽 | |
五能 | 生 | 長 | 化 | 収 | 蔵 | 五行の各機能 |
五季 | 春 | 夏 | 土用 | 秋 | 冬 | 季節の自然配当 |
五方 | 東 | 南 | 中央 | 西 | 北 | 成長の過程 |
五香 | 臊あぶらくさい | 焦こげくさい | 香かんばしい | 腥なまぐさい | 腐くされくさい | 香気の分類、病人の体臭 |
五労 | 久行 | 久視 | 久座 | 久臥 | 久立 | 五蔵を損なう動き |
「肝」のはたらき・・・「木」 木の行に属するものは、木などの植物が地(陰)から出て天(陽)に向って伸びていき枝葉を広げるという様な性質を持つ、物事を伸びやかにさせるのが「木」の気です |
・肝は「将軍の官」 (外敵-病邪-を防ぐ一切の思慮・計謀を司る) ・肝は疎泄を主る (新陳代謝を行う) ・肝は血を蔵す (血を貯蔵して体の血量を調整して、全身に栄養を供給する) ・肝は筋を主る (筋の緊張と筋の運動を維持する) ・肝は目に開竅し(目眩や目病)、その華は爪にある(爪の病変) (肝は血を受けてよく視るといい、かすみ目、めまい、眼の乾燥、夜盲症などは肝の異常と関わりがある) ・精神活動を安定させる (官は思惟の中心で、思考思索をめぐらす。肝気が弱くなると思惟活動が鈍り、ぼんやりし、無気力になる)
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肝臓と腎臓は片方だけが悪くなることは少なく、病気が永引けば肝の影響が腎に及んで |
肝気の異常 ・肝臓は精神作用の内の「魂」を主宰すると定められています。「魂」という字は気魂・精魂という語に示されるように努力、鋭敏、果断、周到、整頓など心的作用のうちの積極的な良い方面を代表するものです。物事をはじめたら徹底的にやらねば気が済まない、すべてを几帳面に整頓する性格である等がこれに当たります。そこで肝臓機能が異常に亢進していると、これらの特性を極端に発揮する肝症病みになります。反対に肝気が衰えている人はこの方面の精神能力が欠如しているのです。 煩驚、易驚、恐怖、驚恐、驚狂、易怒、多怒、粗暴、怒悲、 筋緊張の亢進 ・「肝は筋を主る」とは肝が肉体的に関係するところを意味します。筋とは主に筋肉のことです。 解毒機能の低下 |
肝によい食べ物へ |
「心」のはたらき・・・「火」 火の行に属するものは、火が燃え盛る様に動的なエネルギーの解放された拡がりきった性質があります。木は順調に上へ伸びるだけではなく停滞したり、枯れてしまう事もありますが、火は上へ向かって燃え盛るのみです。木の性質によって伸びていき、行き着いた先に火の性質があるわけです。 方角では南、季節では夏、一日のうちでは昼という様に天(陽)の気つまり太陽の作用が最大な時です。五行の内では最も気が強いものです。 |
・心は「君主の官」 (神に通じる最高の指導者とされ、聡明さ、英知はここから発現する) ・心は神を主る、神は神を蔵す (精神の中枢で、すべての生命活動は神により統率されている) ・心は血脈を主る (血を循環させ脈の働きを司る) ・心は舌に開竅し、その華は面にあり、汗を主る (心に病変が有れば舌色は紅くまたは淡白になり、もつれて言語不能に陥る、心気の不足は味覚の異常となる) |
心の気の異常 循環器能障害(心臓ポンプの働きの低下による) 心の熱症状 |
心によい食べ物 |
「脾」のはたらき・・・「土」 土の行に属するものは、土の中にものを埋めた時に、それが種であった場合は芽が出たり、動物の死骸であれば腐食するという様な変化をさせる性質があります。 方角では中央、季節では土用と言う様に、土は全ての中間点であったり、物事を変化させたりします。五行では木と金、火と水の性質が相反しますが、どちらにも属さないのてが土です。季節の土用というのは暦上のすべての季節、立春、立夏、立秋、立冬の前18日間をいいます。つまり各季節のラスト18日間は土用がくるので夏だけではなく年に4回もあるわけです。そして、いきなり冬から春になるのではなく、この土用の18日間で次の季節へと変わるわけです。 |
・脾は「倉廩の官」 ・脾は運化を主る (倉は穀物を蓄えるものが倉で、米の倉が廩。倉廩とは飮食物の倉庫を意味する。 ・脾は統血する (血流を滑らかにし血管からの漏出を防ぐ) ・脾は肌肉・四肢を主る (筋肉の形成と維持にあずかる) ・脾は口に開竅する (脾の異常があると、口唇は青白くなり、ツヤを失う) |
脾の気の異常 脾の水の異常 脾の気と水の異常 消化機能低下 |
脾によい食べ物へ |
「肺」のはたらき・・・「金」 木・火の様に枝葉を広げて高揚していく一方ですと動的なエネルギーが膨大しすぎてしまいます。それを防ぐため刃物で植物の枝葉を切り落とすような作用が必要となります。金の行に属するものは、物事を小さくする、縮める、下げるという性質を持ちます。 方角は西、季節は秋、一日のうちでは夕方という様に、金は終わりとか、静的な方向に行く様を表します。 |
・肺は「相傅の官」 (君主である「心」を補佐する宰相の役を果たし、体の血液の循環を調整し、 ・肺は気を主る (呼吸により宗気-天空の気-を吸入し、天の気を生成して全身に運ぶ) ・肺は宣発・粛降を主り、水道を痛調する (水穀の気の一部から血と水を生成する) ・肺は皮毛を主り、鼻に開竅する (皮膚の機能を制御し、その防衛力を保持する) |
肺気の異常 肺の水の異常 |
肺に良い食べものへ |
「腎」のはたらき・・・「水」 水は、自然な状態では外力が加わらなければ静かで動かなかったり、動いたとしても下へ向かうだけです。冷たく水面も平坦です。水の行に属するものは、金の性質によって縮んでいき、縮みきって動きの無くなった処に水の性質があります。つまり静的で動物が冬眠をするように小さくじっとしているのが水の気です。 方角では北、季節では冬、一日のうちでは夜という様に五行の内では最も陰の気が強いものです |
・腎は「作強の官」 人体の生命活動を維持する基本的な栄養物質-すなわち「精」-を貯蔵し、五藏六府に供給し、健全な働きを維持している。全身に精力を賦与し粘り強さや根気を生み出している。 ・腎は精を蔵す生殖用の精も貯蔵する。これは、先天的(親から受け継いだ)な腎気が、後天的な(生後に食物などから取入れた)五蔵の精気と結合して出来たもの。その生成、貯蔵、輸送はすべて腎が管理している。・腎は成長・発育・生殖能を司る ・腎は「命門の火」の管理者 腎は左右に二個有りその働きは異なっている。右腎を命門という。 ・腎は水液を主る 腎は水を蔵して、全身の水分代謝を管理し、命門の火はこの働きを助けて全身に津液を分布させたり、排泄させたりする。 ・腎は骨を主り、髄を生じ、脳に通じる 腎は骨と髄の成長発育と関係している(腎は精を蔵し、精は髓を生じ、髓が骨を養っている) ・腎は上は耳に開竅し、下は二陰に開竅し、その華は髪にある 腎気は耳に通じ、腎和すればよく五音を聞くという ・腎は納気を主る (呼吸能を維持する) |
腎の気の異常 腎の水の異常 泌尿器機能低下 生殖器機能低下 |
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◆西洋医学でいう腎臓病は、急性慢性の腎炎、腎不全、腎孟炎などで、主な症状として、蛋白尿や血尿、尿量の増加あるいは減少、浮腫、血圧上昇、腎機能の低下による血中老廃物増加、貧血などが起こり、症状の悪化と共に進行します。西洋医学では一般に「食塩の摂取を減らし」「ストレスや過労を避け、特に風邪を引かないように」「刺激物を避け」「肉食を少なくする」といったような指導をしています。 |
◆漢方(東洋医学)では「腎は先天の本」というように多くの機能を司っており、腎が弱まると様々な症状が出てきますし、また腎は身体のエネルギーを蓄える働きがあると考えます。よって西洋医学的な病状のほかに例を挙げると、インポテンツ、糖尿病、痛風、冷え性、腰痛、神経痛、リウマチ
脱毛、白髪、婦人病、難聴、耳鳴り、足腰の弱り、夜間頻尿、夜尿症、視力低下など更に老化現象にも腎の衰えと考える点も西洋医学と大きく異なっています。漢方では腎臓の病気に対しての食養生も単なる食塩制限だけでなく、広く腎を補益してその機能を助け高めるような食物を積極的に摂取することを勧めています。 腎炎や慢性腎不全のような現代医学で難病といわれる腎臓疾患に村して、漢方の全身的な考えや食養生は良い結果を及ぼす事が少なくありません。 |
腎によい食べ物へ |
・漢方では体の中には気(エネルギー、元気の元)と血(体液のうちで赤い色のあるもの、血液など)、と水(体液のうち色のないものや精微物質、精液など)があります。 ・正常時には、これらが過不足なく、(気が中心となって)身体を巡っています。ところが病的な状態になると様々な症状を表します。 ・「気」「血」「水」の理論では、病的な症状は気血水の内のどれが不良を起こしているのかで変わってきます。 ・臨床上では単独で変調を来していることはまれで、お互いが複雑に絡み合っているのが普通です。 ・おなじ頭痛という症状でも、気の変調によるもの(例:のぼせて頭痛がする)や血の変調によるもの(例:首から上の血行不良で頭痛がするもの)、水の変調によるもの(例:体内にだぶついた水分が上半身に集まって頭痛を起こす)などがあります。ほかにも色々な原因がありますがここでは割愛します。
漢方治療(日本漢方であれ、中医学であれ)では、変調の原因の元をを正す治療を行いますので、若干の時間はかかりますが、慢性の頭痛などで、鎮痛剤を長く飲み続けていると、服用量が増えてくるといった様なことはないと考えて良いでしょう。 |
漢方の気とは体を動かすエネルギーのようなものです。 |
1.気虚 |
気力が沸かない、何となくだるい、元気が出ない、根気が無くなった、動作が物憂い、食欲が落ちた、手足がだるい、良く風邪を引く、内蔵が下がっている、便が柔らかい、下痢しやすいなどは「気虚」という気が少なくなっている状態です。このようなときには朝鮮人参や黄耆という気を増やす生薬をよく使います。黄耆と人参の配合された処方は参耆剤(じんぎざい)といって気虚の治療の基本形です。 |
2.気欝(気滞) |
気分が重く憂鬱、頭が重い、喉がつまった感じがある、季肋部(肋骨の下の方)が使えた感じがする、腹が張る、朝起きにくい、ガスが良く出る、などは気の巡りが悪くなった状態で、ひどくなるとノイローゼになったり、不眠症になったり、ヒステリーになったりすることもあります。そのほかに張ったような痛みが生じます。この状態が進行すれば、胃腸の機能が低下して血液が不足(血虚)したり、ストレスなどにより血行不良(於血)を生じます。このようなときには厚朴、紫蘇葉、枳実、香附子などを生薬として使います。また、気欝の時には肝の気の巡りも悪くなっていることも多いので肝にたまった血の流れを改善することも考える必要が出てきます。 |
3.気逆 |
気の動きは上に上がったままで下がらなくなった状態です。お腹のあたりから何かが頭の方に突き上がってきてにっちもさっちもいかなくなった状態です。 |
古人は体液のうちで赤いものを「血」と呼んでいたようです。現代医学では、赤血球や血小板などが血に相当するのではないでしょうか。 |
1.血虚 |
文字通り血が少なくなった状態です。血が少ないことで、全身に栄養を送ることが出来なくなってきます。血の中には水分もあるので身体が乾燥気味になったりもします。血が少ないことは気も少なくなっているので、前述した気虚の症状も伴います。貧血状態ですから、身体の血液循環も良くなく冷え性になったり、顏色不良、痩せ、脾に血が巡らずに働きが弱くなり出血しやすくなる(脾は統血を司ると言います)等が症状としてわかりやすいでしょう。当然の事ながら治療には増血作用のある生薬の当帰、川弓、地黄、芍藥、阿膠などを使います。 |
2.瘀血(血瘀とも言う)・・・・瘀は「やまいだれに於」と書きます。淤とかくこともあります。 |
新選漢和辞典(小学館)には「於」は血の循環が悪くなって起こる病気とあります。この於という字に更に血が付いているのですから血の流れが悪いことは一目で想像できますね。 |
現代人はストレスが多くなっているために気の巡りが悪く、その結果として血の巡りも悪くなっています。さらに食生活の悪さからますます於血の状態が悪くなります。 |
また全身で見ますと高血圧に伴う様々な症状、血栓が出来たり、痔が出来たり、便秘したり、腹痛が起こったり、狭心症等になったりとても命に直結するような病状が多いです。 |
於血によって引き起こされる症状は目の周りの色素沈着(くまどり)、顔面の色素沈着、皮膚のかさつき、歯茎が暗赤色、舌が暗赤紫色になったりクロっぽい斑点が出来る、舌の裏の静脈が太くクロっぽい、皮膚に蜘蛛の巣のような血管が浮いて見える、内出血しやすい、手のひらが赤い、臍の周りに圧痛がある、便秘、イボ痔などです。このような状態があれは手遅れにならないように早めに治療しましょう。於血を改善する薬は駆於血剤といい、牡丹皮、桃仁、当帰や芍藥(血虚でも使う)等があります。これらでも駄目なときには滅多に使いませんが動物の生薬を使うこともあります。 |
瘀血を引き起こす原因 |
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瘀血と関わりの深い病気 |
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瘀血における養生法 |
・養生の主な手段は運動で、体の抵抗力を高めます。治療の必要な疾病は正確に治療しながら、日常的に適切な運動を行い、ストレスがたまらないように心がけ、さらにバランスの取れた食事をし、生活環境(特に冷暖房)に注意すれば、瘀血症を予防することができます。 運動 |
食事については野菜の食べ方 と 瘀血の食べ方を参照 |
医学書院 和漢診療学 寺澤捷年著より
科学技術庁研究班による瘀血の診断基準 項目 男 女 項目 男 女 眼輪部の色素沈着 10 10 臍傍圧痛抵抗 左 5 5 顔面の色素沈着 2 2 臍傍圧痛抵抗 右 10 10 皮膚の甲錯 2 5 臍傍圧痛抵抗 正中 5 5 口唇の暗赤化 2 2 回盲部圧痛・抵抗 5 2 歯肉の暗赤化 10 5 S状部圧痛・抵抗 5 5 舌の暗赤紫化 10 10 季肋部圧痛・抵抗 5 5 細絡 5 5 皮下溢血 2 10 痔疾患 10 5 手掌紅斑 2 5 月経障害 10 判定基準 20点以下・・非瘀血病態 21点以上・・瘀血病態 40点以上・・重傷の瘀血病態 軽症の場合は点数を1/2とする
- 最後に残ったのは水ですが、中医学では津液(しんえき)といいます。 (若干異なりますが割愛)
- 体内に存在する水分には色々とあります。命を維持するのに必要な水(リンパ液も含みます)を津液と呼ぶと考えると分かり易いかと思います。
- 病態としては足りないか余ったかですが、足りない場合よりも余った場合の方が複雑な病体を示します。
- 水は冷えると固まって氷になりますが、濃縮されて濃くなった状態を漢方では痰、飲、痰飲等と呼びます。また更に濃縮された状態になるとコレステロールが身体にたまったり、石のようになって、胆石などの結石になります。
- このような状態を湿熱と呼んで、漢方ではとても治療に時間のかかる病状です。湿熱については別に項目をもうけて述べるとして、ここでは、単に水分が貯まった状態について述べます。
- 古方では水の余った状態を水毒としてとらえていますが、中医学の方では水の足りない状態を陰虚と読んでいます。ここでは水毒のみの説明にしておきます。
1.水滞 水毒ともいわれています。 |
マスコミで水を1日2L飲んだ方がよいといってるのを効いて、実行している方がよくこられますが、大抵の方は体調を乱しているようです。
今では、西洋医学では1日どれくらい飲みましょうという指示はなされていないそうです。が、相も変わらず、テレビや健康雑誌などでは水を飲め飲めと騒いでいます。体が冷えていると、水は飲みたくないですよね。自分の感覚を信じましょう。食事から結構水分はとっているんですよ。さて、水がだぶついて起こる症状としては、
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さて、漢方治療では余分な水をさばく生薬が利用されます。 「利尿薬」とは言わず「利水剤」といいます。
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話を水滞に戻しましょう
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