31.キク「菊花(きくか)」─→  詳細はこちら
身近にある薬用植物

秋を代表する観賞用に栽培されている方も多いキク Chrysanthemum morifolium、キク科Compositae も漢方薬です。
花(頭状花)を利用します。二千年前に書かれた神農本草経(しんのうほんぞうきょう)に不老長寿に飲む薬(上品、朝鮮人参もここにあります)に分類されています。後世の本草書に「薬用の菊は、花は一重で小さく黄色で、葉は縁が深く小さく薄く、9月に花の開くものが正品である」と書かれています。キクは種類が多いのですが明代の本草書には「食用にするは甘いもので、薬用には甘くても苦くてもいずれでも良い」とあります。現在、薬局で売られているものは花が咲いたものと蕾とがありますが、どちらを用いてもかまいません。キクは精油やフラボノイドが多く含まれる植物です。花を乾燥させて頭痛、めまい、眼疾患に用います。中国ではお茶として親しまれています。1日10〜15cを土瓶で水400`で煎じ3回に分けて飲みます。風邪の予防や、腫れ物、ルイレキ、呼吸器の炎症、高血圧、二日酔いなどにも利用されます。有名な処方に釣藤散というのがありますが、これにも菊花が含まれています。中高年以後の方で動脈硬化が原因で起こる頭痛、肩こり、めまい、耳鳴り、高血圧などに用いられています。視力減退・かすみ目の方には杞菊地黄丸というのもあります。


●情報提供 長岡孝実「漢方薬局一貫堂、行橋市中央3-2-27」g26−2620、  http://ikkando.com