20.「ヒメガマ」蒲黄 ─→ 詳細はこちら
身近にある薬用植物21  ヒメガマ、ガマ、コガマ  
 古事記には因幡の白ウサギが大国主命の指示の通りガマの穂綿にくるまって命が救われたとあります。おそらく日本の文献上もっとも古い薬用植物利用の記載ではないでしょうか。古事記には穂綿でなくて、「蒲黄」にくるまったと記載されています。二年前の大かんばつの時に干上がった祓川を歩いて見た所、両岸に2メートル程のガマが群生しており、フランクフルトの様な果穂をつけていました。開いた穂は昔は綿(脱脂綿)と同じように使っていたとも聞いています。日本には3種のガマが自生しています。漢方ではヒメガマの花粉を「蒲黄」と呼び、集めて止血薬として利用します。初夏の開花頃に雄花の花粉だけを集めます。ヒメガマは雌花と雄花の間が2〜4センチ程開いて花粉を採取しやすいです。ガマやコガマではそのすき間が殆どないので区別は簡単に出来ます。これらも薬用としてもかまいません。【利用法】蒲黄の分類は止血剤です。乾燥させた黄色い花粉を1日5g位を3回に分けてそのまま水で飲みます。煎じて飲んでもかまいません。子宮収縮作用があるため妊婦には禁忌です。切り傷、すり傷にはこの花粉を直接振りかけると良いです。その他の利用法は、吐血や血便、子宮出血、痔出血のほか、通経薬、産後の下腹部痛、また古血(H血オケツという)を去る作用もありますが、この時は軽く炙って用います。昔から利尿・通経には当帰・滑石・芍薬と一緒に煎じて飲まれています。全草は利尿薬として利用されます。ヒメガマのほかにも身近にある止血作用のある植物をいくつかあげてみましょう。キンミズヒキ(仙鶴草、全草)、シラン(白驕A地下塊茎)、ノアザミ(大薊、全草)、ワレモコウ(地楡、根茎)、コノテガシワ(側柏葉、若い枝葉)、ヨモギ(艾葉、全草)等があります。
  資料提供、長岡孝実、漢方薬局一貫堂 http://ikkando.com