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身近にある薬用植物19  「セキショウ」と「ショウブ」

 セキショウとショウブはサトイモ科Araceaeの植物です。綺麗な薄紫のハナショウブ(アヤメ科Iridaceae)もショウブと付いてはいますが、全く別物の植物で薬用にはしません。
■五月、端午の節句には生の葉や刻んだ根茎を木綿袋に詰め、風呂に浮かべてショウブ湯にはいります。その芳香(精油成分)は体を暖め子供の腺病質によいと古くから行われてきました。その他に冷え性、神経痛、リウマチ、腰痛、不眠症、神経の疲れにも効果的です。明治期の文献によりますと当時は日本ではショウブ、中国ではセキショウを用いる事が多いとあります。ショウブの根茎には精油成分が多く、鎮静、鎮痛、鎮痙、鎮咳、去痰、血圧降下作用があります。また、食欲増進、消化不良、胃炎や腹痛、健忘、ヒステリーなどに用います。新しいショウブは煎じて飲むとムカツキが出るので生薬の粉末1日3〜6g3回に分けて飲んだり、煎じる時は採取後1年以上経過したものを使います。浴剤には葉と根茎を細かく刻んで布袋に入れて用います。
■ショウブに似たセキショウは岩に着生するのでこの名があります。ショウブ湯は本来はセキショウを用いるのが本当ですが、においが強いので、においの弱いショウブが用いられる様になり、庭園に植えられる様になったと言います。セキショウも根茎を薬用とします。芳香性健胃薬・鎮痛・腹痛に1日3〜6gを水600`で40分程弱火で半分に煎じて3回に分けて飲みます。ショウブと同様に粉末で飲んでもかまいません。耳の痛みには温罨法として用います。脳内血流を改善させ、頭を良くする薬草として知られています。最近人気の薬草です。またご当地では生のセキショウと熟地黄の薬酒を別々に作り3ヶ月後に1対2の割合で合せて飲めばボケの予防によいとイチョウ同様に好評です。

●情報提供、長岡孝実「漢方薬局一貫堂」
g26-2620、ホームページ http://ikkando.com