6.ハマスゲ ─→ 詳細はこちら

俗名を浜の菅と言うように、海浜砂地や大きな川の河川敷などの日当たりの良いところに群生します。カヤツリグサ科Cyperaceaeの植物で、似たものが多くありますが、ハマスゲは掘り起こすと地下の根茎のヒゲ根に球形の塊があるところが他との決定的な違いです。薬用には根茎(塊茎)を使います。秋に採集して乾燥させた物が香附子(こうぶし)という漢方生薬です。和漢『三才図会』(寺島良安著、全105巻、1713年刊)には「古くは全草を」莎草(さそう)と呼んで薬用に供したが、今ではその根を香附子と名づけて、これを用いるようになったとあります。昔に莎草と呼んでいた頃のことを知らない人がいると書かれています。同様の記述は『本草綱目』(中国の李時珍(1518〜1593)の著書にも見られます。
 さて生薬は香りが強いので香附子という名が付いたと言います。この芳香がとても大事な生薬です。漢方での効能は理気(りき)といって身体の気のめぐりが悪くなった状態を改善します。また女性に特有の腹痛(生理痛など)にも不可欠の生薬です。単独では余り用いません。カゼの引きはじめには葛根湯や桂枝湯などがよく効きますが、胃が非常に弱い人がは、これらが胃にこたえるので飲めません。このような人の風邪薬に香蘇散という漢方薬があり、これに香附子は含まれています。又、この処方は、魚を食べると蕁麻疹の出る人が長く飲むと体質改善に一役買ってくれます。ではその中身を教えましょう。
香蘇散:香附子、紫蘇葉(赤ジソの葉)、陳皮(温州みかんの皮)、甘草、生姜(ヒネショウガ)です。これを煎じて、温服します。漢方薬はわりと身近にある食べ物で構成されていることもあります。


●情報提供は長岡孝実「漢方薬局一貫堂」
g26-2620、ホームページ http://ikkando.com


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