トチュウの葉  生薬「杜仲」とグッタペルカ

【基原植物】  トチュウ Eucommia ulmoides
【 生薬名 】  杜仲 EUCOMMIAE CORTEX
 杜仲葉 EUCOMMIAE HERBA
【 科 名 】  トチュウ科Eucommiaceae
【 別 名 】 北杜仲、絲棉皮、玉絲皮
Eucommia‥ギリシャ語のeu(良い)+commi(ゴム)を含むことによる。Ulmoides‥ニレの木に似たという意
【薬用部位】 樹皮
【 成 分 】 アルカロイド(グッタペルカ)
生薬を折ると生の葉と同様に白い糸を引く、これがグッタペルカ、良品程多く引く
 【薬理作用】 ①樹皮には免疫賦活作用がある
②葉には抗腫瘍作用があり、経口投与による一般薬理実験では滋養強壮作用、鎮痛作用、血圧降下作用が、静脈内投与では利尿作用が認められる。
③富山医科薬科大学難波らは、ラットなどを用いて一過性の降圧作用、尿中電解質の排泄向上と利尿、滋養強壮、抗酸化および肝機能の亢進作用などを解明。
④熊本大学薬学部野原らと日立造船研究グループ、九州大学健康科学センターのグループは、トチュウ葉部の含有成分としてゲニポシド酸などのイリドイド類、フェノール性化合物、フラボノイド類およびトリテルペン類を明らかにし、高血圧の改善とガン予防効果のあることを報告。
⑤自然発症高血圧ラットを用いてトチュウ葉エキスの血圧上昇抑制作用を確認するとともに、主要活性成分はゲニポシド酸であることを推定。降圧臨床評価においては、103人の健常者を対象に二重盲検対照試験を行い、トチュウ葉エキス飲用群に平均血圧の有意な低下作用がある。
⑥トチュウ葉エキスにはラットの高コレステロール血症の改善や脂肪肝の軽減作用が報告されており、人へのトチュウ葉配糖体投与によって、総コレステロールが低下する。
⑦トチュウ棄エキスの飲用により加熱蛋白食品の摂取や喫煙による発がん性が抑制され、がん予防効果が臨床的にも判明。また、トチュウ葉の水溶性画分には、抗がん剤のマイトマイシンCによる染色体異常の抑制作用が認められ、ゲニポシド酸などのイリドイド配糖体やフェノール性化合物に抑制活性のあることが判明。
【 薬 性 】 性味‥甘微辛温、無毒  帰経‥入肝腎二経。
 【 功 效 】 補肝腎、強筋骨、益腰膝、除痠痛、強壮安胎、鎮痛鎮静、降血圧。 
 【 主 治 】 腎虚腰背痠痛、腿膝軟弱、小便餘瀝、陰下湿癢、孕婦胎動漏血、習慣性流産、高血圧
【 効 能 】 ●30数年前に日本中で健康茶(杜仲茶)として大ブームになった。血圧高い方の特定保健用食品の認可あり。
●強壮、強精、鎮痛作用
●高血圧や動脈硬化
●神経痛や関節痛、腰痛に1日5gを煎じて服用する
●漢方では少なくなった腎の陽気を補う作用があるとされ、腎陽虚による腰痛や流産防止、血行障害、四肢の冷えに用いる
●生薬を折ると生の葉と同様に白い糸を引く(右写真の左)、これがグッタペルカ。良品ほど多く引く。
【 備 考 】 葉は、高血圧や動脈硬化によい、機能性食品となっている
健康茶(杜仲茶)として飲む。血圧高い方の特定保健用食品の認可あり。
 【出  典】 杜仲.一名思仙.味辛平.生山谷.治腰脊痛.補中.益精氣.堅筋骨.強志.除陰下痒濕.小便餘瀝.久服輕身耐老.(神農本草経上品)。
 【処 方 例】