アミガサユリ 生薬「貝母」


【基源植物】  アミガサユリ Fritillaria thunbergii
【 生薬名 】  貝母 FRITILLARIAE BULBUS
【 科 名 】 ユリ科Liliaceae
【 別 名 】 川貝、浙貝、網笠百合、バイモ
来歴 ●貝母には川貝、浙貝、平貝、生貝、北貝などの種類がある、輸入品の大部分は浙貝母で川貝母はごく僅か、中国では食後のデザートとして良く食されているという、日本産は奈良産や兵庫産がある
●乾燥する課程で石灰にまぶしているが理由はよく分からない(木村孟淳)
【薬用部位】 鱗茎
【 主成分 】 ステロイドアルカロイド(ベルチシン=ペイミン、ベルチシリン、ベルチシノン、ペイミノシド、フリチシン、フリチライン)、配糖体。貝母のアルカロイド(ペイミン、ペイミノシド)にはイヌ・ネコ・ウサギで血圧下降作用を示す。ペイミンはウサギ摘出気管肺の環流実験で低濃度では明らかな拡張作用、高濃度では著しい収縮作用を示し、ウサギ摘出子宮に対しても興奮作用を認める。また呼吸運動中枢麻痺作用があり、嘔吐促進作用がある。
【 薬 性 】 気味‥辛苦微寒無毒、帰経‥心肺二経。(常用薬剤選輯)
【 功 效 】 清肺潤燥・鎮咳祛痰・散結除熱・止血排膿・催乳(常用薬剤選輯)
【 主 治 】 急性慢性気管支炎、咳嗽、肺痿肺癰、喉痺、催乳産難、瘰癧癰腫瘡毒(常用薬剤選輯)
【 効 能 】 ●薬理作用は開泄肺氣・清熱散結。鎮咳作用、アトロピン様作用降圧作用、子宮興奮作用を有する。
●急性の咳嗽や化膿症の治療に用いる
●咳、痰に1日1~3gを煎服
●過量に用いると吐血の恐れがあるため注意すること
●貝母には川貝母(せんばいも)と浙貝母(せきばいも)がある、効能は浙貝母は燥性が激しく、清熱の効能も強いため急性の風熱の咳嗽に向き、川貝母は薬性もおだやかで小児や慢性の咳嗽に適している
●中国ではアミガサユリの鱗茎は大半は食後のデザートとして食されている
【 出 典 】 貝母.一名空草.味辛平.治傷寒煩熱.淋瀝邪氣疝瘕.喉痺乳難.金創風痙.(神農本草経中品)
【 処方例 】 当帰貝母苦参丸、桔梗白散、養肺湯、清肺湯、滋陰至宝湯
【 禁 忌 】 脾胃虚寒及有湿痰者
【 備 考 】 ●アルカロイド生薬で呼吸運動中枢麻痺、吐き気を催すので多量に服用しない様にとの記述あり(続岡山の薬草)、1日1~3