生薬「牛黄」
オーストラリア産
牛黄には色んな形がある


【基源動物】  ウシ Bos taurus var.domesticus
【 生薬名 】  牛黄 BEZOAE BOVIS      日本薬局方品JPⅩⅤ
【 科 名 】  ウシ科Bovidae
【 別 名 】  犀黄、西黄、正牛黄、瞿廬折那(金光明経)など
【薬用部位】 牛の胆嚢もしくは胆管に病的に生じた胆石(を粉末にした物)
【 主成分 】 胆汁酸とビルビリンの複合体、コリン酸、ビルビリン、コレステロール、イルゴステロール、パルミチン酸、レシチン、VDなど
【 薬 性 】 気味‥苦涼、帰経‥心肝
【 効 能 】 ●開竅化痰、清熱解毒、定驚
●牛黄は心を清し、毒を解き、竅を開き、痰を豁き、驚を定める効があり、熱病で反狂し讝語するもの、狂癇痙攣、中風痰厥、喉痺、癰疽疔瘡などの症に用いる。
●強心、鎮静、鎮痙、解熱、解毒薬として、動悸、息切れ、心悸 亢進、心臓病、熱病などに応用
●幼児の発熱や熱性痙攣などに併用すると効果がよい、常備しておくと便利です
●動悸による不安感の鎮静、暑気あたりに対する苦味清涼、
 咽痛の緩解、強心に粉末を1回0.1~0.5gを頓用する
●胸痛発作時に上記の量を舌下投与すると楽になる
●主として緊急時に使うことが多い
●牛黄製剤の牛黄清心丸(太上安宮丸)や六神丸などは、心臓病(心悸亢進、動悸、息切れなど)、脳循環疾患(めまい、気付け、ずきずきと痛む激しい頭痛など)の予防や緊急薬としての効果が優れています
●軽症の方は六神丸をよく使われています
●C型及びB型慢性肝炎・肝硬変等の肝機能障害でGOTやGTPなどの数値が高い人に1日あたり「牛黄200mg+熊胆60mg」を服用させると数値が下がったとの学会報告がある
用量は150~1000㎎、丸剤・散剤にいれ、煎剤には入れない
【 備 考 】 牛黄と麝香は似ているが、開竅作用は麝香が優れているが、牛黄には清熱解毒の効能がある点が異なる
発熱性疾患の意識障害には牛黄と麝香を同時に用いる
【 出 典 】 牛黄.味苦平.生平澤.治驚癇寒熱.熱盛狂痙.除邪逐鬼牛角瞬.下閉血.瘀血疼痛.女子帶下血.髓.補中填骨髓.久服増年.膽.可丸藥.(神農本草経・上品)
小児の百病、諸癇熱で口の開かぬもの、大人の狂癇を療ず。また胎を堕す。久しく服すれば身を軽くし、年を増し、人をして忘れざらしむ。(名医別録)
肝胆を益し、精神を定め、熱を除き、驚痢を止め、悪気をしりぞけ、百病を除く(孫思邈)
【 処方例 】 牛黄丸(古来、数種有り)、至宝丹(和剤局方)、牛黄散(証治準縄)などは、清心、定驚に用いるのみならず、清熱、豁痰に効を期待して用い高い治療効果を上げている。
六神丸、大上安宮丸、敬震丹、回春疝、牛黄カプセルなど製剤化されている。