137.当帰飲子

〔出典〕済生方・疥癬門、別名‥当帰飲

「瘡疥、風癬、湿毒、燥痒等を治す。」
「心血凝滞、内温の風熱、皮膚に発見し、遍身の瘡疥を治す」
〔勿語薬室方函口訣〕
老人血燥よりして瘡疥を生する者に用ゆ。若し血熱あれば温清飲に宜し。又、此方を服して効なきもの、四物湯に荊芥・浮萍を加へ長服せしめて効あり。

〔構成〕
当帰5、芍薬・川芎・蒺梨・防風各3、地黄4、何首烏2.5、荊芥・黄耆各2、甘草1

四物湯が基本で、当帰・芍薬・川芎・蒺藜子は血虚と血燥を治す
蒺梨子は、諸瘡の痒を治す
荊芥・防風は風熱を去り諸瘡をじす。
黄耆は、肌表の栄養を高め、何首烏は滋養強壮の効がある

〔応用〕

貧血性のあるいは枯燥による慢性の皮膚掻痒症に用いる。
本方は主として皮膚掻痒症・痒疹・瘡疥(ひぜん)その他、乾燥性皮膚疾患・慢性湿疹などに用いられる。

〔目標〕

血虚・血燥・風熱による皮膚痒が目標である。
それ故、貧血症で、皮膚枯燥があり、分泌物少なく、乾燥し、発赤も少なく、痒を主訴とし、老人や虚弱の人に多く用いられる。


冷え性で慢性湿疹(分泌物は少ない)、痒み
老人や体力が衰えて、皮膚がカサカサして艶がなく、発赤も少なく、
糠康性の落屑や痒みのために掻きむしり少量の出血や結痂を認めるもの

〔鑑別〕
温清飲(痒枯燥、血熱、皮膚黄褐色)、
消風散(痒、分泌物多く、痂皮形成、痒み強く、内熱)。夏に悪化、血熱で、本方は冬に悪化、血虚。
黄連阿膠湯(痒乾燥、煩燥不眠、血熱、虚証)