136.桃核承気湯

〔出典〕 傷寒論

太陽病中篇
111 太陽病不解.熱結膀胱.其人如狂.血自下.下者愈。其外不解者.尚未可攻.当先解其外。外解已.但少腹急結者.乃可攻之.宜桃核承氣湯。

〔勿語薬室方函口訣〕

・この方は、傷寒畜血少腹腹結を治するは勿論にして、諸血証に運用すへし。たとえば吐血衂血止まさるが如き此方を用されば効なし。又走馬疳断疽出血不止者、此方に非れは治すること能はず。癰疽及び痘瘡紫黒色にして内陥せんと欲する者、此方にて快下するときは思の外揮発する者なり。又婦人陰門腫痛或は血淋に効あり。若し産後悪露下ること少く腹痛者と胞衣下らずして日を経る者とは此方を煮上して清酒を入れ飲み、あんばい宜くして徐々に與ふへし。又打撲経閉等血の腰痛に用ゆ。血の目的は必ず昼軽して夜重者也。痛風抔(ナド)にても昼軽くして夜痛みはげしきは、血による者也。又数年歯痛止まさる者、此方を丸として服すれは験あり。其他荊芥を加て痙病及び発狂を治し、附子を加て血瀝腰痛及び月信痛を治するが如き。其の効挙て数へがたし。

〔構成〕 桃仁五十箇去皮尖.大黄四兩.桂枝二兩去皮.甘草二兩炙.芒消二兩.
     右五味.以水七升.煮取二升半.去滓.内芒消.更上火微沸.下火。先食温服五合.日三服.当微利。
     (桃仁5, 桂枝4, 大黄1-3, 芒硝1-2, 甘草1.5. 。湯)

・方函「芒硝、大黄、桂枝、甘草、桃仁。右五味、瘀血発痙加荊芥、血瀝痛加附子寿世治吐血、覺胸中気塞、上吐紫血。」

〔方意〕血証、小腹急結し、上衝する者を治す。(方極)

〔病位〕 陽明の準位、実証

〔脈候〕実、もしくは緊、ときに浮の傾向を帯びる。

〔舌候〕乾燥、舌苔のないときに黄帯、舌色ときに暗青。

〔腹候〕腹力充実、下腹部緊張し、左臍傍に抵抗・圧痛あり、多くは腹直筋の異常緊張と圧痛を伴う(小腹急結)


〔応用の勘どころ〕小腹急結、便秘ないし下痢、出血傾向、のぼせびえ、欝血症状、月経異常、自汗。

〔鑑別〕大黄牡丹皮湯、桂枝茯苓丸、下瘀血湯、調胃承気湯、白頭翁湯など。

〔応用〕

・熱性病で、熱候具わり、少腹急結、便秘、出血傾向あるもの。
・月経不順、月経困難、代償性月経、無月経赤白帯下、子宮内膜炎、附属器炎、更年期障害、流産癖、不妊、産後悪露残留、バルトリン氏腺炎。
・肺炎、チフス様症状、虫垂炎、急性大腸炎、赤痢様疾患、胃潰瘍、痔疾、打撲傷、気管支喘息、蓄膿症、腎結石、皮膚病。
・頭痛、眩暈、耳鳴り、肩凝り、ひえのぼせ、腰痛などの自律神経症状、興奮、不眠、健忘、狂状、譫妄などの精神症状。
・ヒステリー、血の道症、ノイローゼ、神経衰弱、発狂、癲癇、狂躁病、脳充血、脳出血、動脈硬化症、高血圧症、蛔虫症。


脈腹力は中等度以上、少腹急結、下腹部の抵抗圧痛、左臍傍悸、
血色赤黒い、唇赤紫色、細絡、冷えのぼせ、顔が脂ぎっている、自汗、便秘、肩こり、
軽度の神経症状、その人狂の如し、血の上衝の重度のもの
自律神経失調症の様な症状↓
  ~頭痛、目眩、耳鳴り、のぼせ、動悸、肩こり、生理痛、腹痛、腰痛、不眠
血尿が出ることがある、打撲傷、虫歯によく効く
交通事故症