12.黄連解毒湯、黄解散
〔出典〕 肘後方(350年頃)、外台秘要、万病回春
『肘後方』 熱極、心下煩悶、言は狂い鬼を見、起走せんと欲し、煩嘔、眠るを得ざるを治す。
『勿語薬室方函口訣』 この方は熱中熱邪を清解するの聖剤なり。一名倉公の火剤とす。
〔構成〕
外臺祕要方‥黄連黄黄柏山梔子
万病回春 ‥黄連黄黄柏山梔子柴胡連翹
黄連1.5、黄柏3、黄岑3、山梔子3(湯)
黄連末1、黄岑末1.5、黄柏末1、山梔子末1(散,1回1.5g,).
〔方解〕
黄連は主として心や中焦の火を瀉し、
黄芩は主として肺や上焦の火を
黄柏は主として腎と下焦の火を
山梔子は主として五臓の遊火を瀉すとされている。
いずれも気味は苦寒で、消炎・鎮静・利尿作用がある。
〔効能・効果〕 薬局製剤
比較的体力があり、のぼせ気味で顔色赤く、いらいらする傾向のある次の諸症:
鼻出血、不眠症、ノイローゼ、胃炎、二日酔い、血の道症、めまい、どうき
〔目標〕
実熱による炎症・充血・興奮を伴った諸症を目標とする。
1.気分がイライラして不安で眠れず、胃部がつかえる。
2.上腹部が痛み、心窩部が膨満してはる。
3.頭痛、耳なり、血圧亢進がある
4.吐血、鼻出血、下血などの出血のあるもの
5.その他、胸苦しい、手足が暑苦しいなどもある
〔応用〕
1.急性熱性の各種出血
2.高血圧症、不眠症、神経症、精神病、血の道症。
3.胃炎、胃潰瘍、胃酸過多症。
4.皮膚掻痒症、酒渣鼻、肝斑。
5.宿酔の予防と治療。
いずれの場合も、生津興奮や不安感があって落ち着かず、局所的に充血炎症が認められ、心窩部に重苦しい痞えがあると的確に奏効する。
少陽の虚実間、
湿疹、更年期障害、赤ら顔、頭痛、項強、時に眩暈
高血圧、精神不安(不眠、気が散る、イライラなど)、首から上の症状に良く効く
手足はあまり冷えない、
腹力中等度かそれ以上
※本方と三黄瀉心湯との鑑別は実の度合い(脈と汗)
黄連解毒湯
三黄瀉心湯~自汗
葛根黄連黄岑湯~自汗
回春黄連解毒湯=加柴胡4、連翹2とし皮膚病に多用する