65.呉茱萸湯 茱萸湯

〔出典〕

【傷寒論】
・251.食穀欲嘔者.屬陽明也.呉茱萸湯主之.得湯反劇者.屬上焦也.《陽明病篇》
・319.少陰病.吐利.手足逆冷.煩躁欲死者.呉茱萸湯主之.《少陰病篇》
・389.乾嘔吐涎沫.頭痛者.呉茱萸湯主之.《厥陰病篇》

【金匱要略】《嘔吐暍下利病篇十七》
・嘔而胸滿者.茱萸湯主之.
・乾嘔吐涎沫.頭痛者.茱萸湯主之.

〔構成〕

呉茱萸一升.洗.人參三兩.生薑六兩.切.大棗十二枚.擘.
右四味.以水七升.煮取二升.去滓.温服七合.日三服.
(呉茱萸2.人參1.生薑3.大棗3.)

〔方意〕

・穀を食し嘔せんと欲する者(方意は気逆を以て主証となす)(方機)
・吐利(吐瀉なり)し、手足厥冷し、煩躁する者 (方機)
・乾嘔し、涎沫を吐し、頭痛する者(南呂)(方機)
・嘔して胸満する者(紫円)(方機)
・脚気上攻して嘔する者(紫円)若し水腫して嘔する者は此の湯の知る所にあらず(方機)
・胸満し、心下痞硬し、嘔する者を治す(方極)
・胸満し、心下痞硬して、嘔吐する者を治す(方極附言)

〔病位〕太陰の準位、時に厥陰状を現す、虚証
〔脈侯〕沈、沈弱、あるいは軟、あるいは小。脈沈微傾向
〔舌侯〕口舌やや湿潤
〔腹侯〕割合に軟、胃部多くは軟、胃部に振水音


〔応用の勘所〕

水飲の動揺上衝による嘔吐、頭痛、胸腹部膨満、煩躁、手足の冷え

〔鑑別〕

半夏瀉心湯、五苓散、茯苓飲(胃の冷えがない、悪心もない)、附子粳米湯、大柴胡湯、
小柴胡湯、四逆湯、小半夏加茯苓湯、橘皮湯など

※顔面紅潮時の違い
  呉茱萸湯
、 ~吐き気と頭痛(偏頭痛、頭頂の頭痛が多い)
  苓桂味甘湯 ~酒に酔ったように赤くのぼせ、頭がボーッとする
  通脈四逆湯 ~下痢激しく四肢厥冷し悪寒しない
  三黄瀉心湯 ~便秘実熱

〔応用〕

・胃炎、胃下垂、胃拡張、幽門狭窄、胃酸過多症、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、流行性黄疸、
 悪阻、蛔虫症
・二日酔い等で嘔吐し、心下部が強くつかえ、あるいは痛み、概して貧血性のもの
・急性腸炎で、激しく下痢、嘔吐、あるいは頭痛し、冷えるもの
・胃酸過多症で、足冷え、胸焼けし、心下が苦しいもの
・胃液分泌過多症、蛔虫、小児のよだれ、生唾を吐く者などで、唾液や胃液が多量に口から出るもの
・吃逆し冷え性で、胸元がつかえ張るもの
・強烈な嘔吐頭痛、常習頭痛、片頭痛、薬物中毒、尿毒症、子癇、ひきつけ、虚脱、昏倒、
 脳腫瘍、中枢神経疾患、あるいは胃病、あるいは婦人病などで頭痛激しく嘔吐、煩躁、
 眩暈、食欲不振、冷や汗、心下苦悶、足冷え、あるいはのぼせがあるものなど

反復する頭痛・嘔吐(時に乾嘔)、肩こりを伴うことが多い、急性・慢性の偏頭痛
手足冷え(身体全体の冷えはない)、四肢厥冷、発熱は伴わない、発汗、のぼせ、赤ら顔
下痢、煩燥、眩暈、心下痞(硬)、胸部に膨満感、服力中等度以下
煩燥(心煩)、食欲欠損、胃機能麻痺状態(胃が冷える者)
胃虚寒の悪心、嘔吐、吃逆

「しゃっくり」
  ①橘皮枳実生姜湯 ②橘皮竹茹湯
  ③呉茱萸湯    ④甘草瀉心湯+陳皮
  ⑤柿蔕湯     ⑥丁香柿蔕湯