ジロボウエンゴサク花 | ヤマエンゴサク花 | 生薬「延胡索」 |
【 生薬名 】 | 延胡索 CORYDALIS TUBER | |
【基原植物】 | ジロボウエンゴサク Corydalis decumbens ヤマエンゴサクソC.lineariloba C.turtschaninovii forma yanhusuo |
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【 科 名 】 | ケシ科Papaveraceae | |
【 別 名 】 | 元胡、玄胡、玄胡索 | |
【薬用部位】 | 塊茎 | |
【 主成分 】 | アルカロイド(コリダリン-B、-L、-A、デヒドロコリダリン) | |
【 薬 理 】 | デヒドロコリダリンには実験的消化器性潰瘍発生抑制効果及び治癒促進効果が認められている | |
corydaline、corybulbineは比較的大量で弱い麻痺作用がある。 | ||
dl-tetra-hydropalmatineにはbulbocapnineと類似した中枢作用があり低濃度で家兎摘出小腸を興奮、高濃度で抑制、、ラット摘出子宮を収縮させる。さらに鎮静・鎮痛作用が確認され特に胸腹部の鈍痛に卓効を奏すといわれ古来の本草書の薬効が裏付けされた。 | ||
近年、延胡索中のアルカロイドに弱いパパベリン様の鎮痙作用が見いだされている。抽出されたアルカロイドエキスには強い胃酸分泌抑制作用および抗潰瘍作用が見いだされている。この有効成分はdehydrocorydalineとされる。 | ||
【 薬 性 】 | 性味‥辛無毒温 、帰経‥入肺大腸二経 (常用薬剤選輯) | |
【 功 效 】 | 活血散瘀・理気止痛・調経鎮痛 (常用薬剤選輯) | |
【 主 治 】 | 胸腹諸痛・月経不調・経痛・産後陣痛・頭痛・疝痛・鉄撲瘀血・腹中結塊・子宮出血・崩中淋露 (常用薬剤選輯) | |
【 効 能 】 | ●中医学では活血・理気・止痛の効能、すなわち浄血、利尿、鎮痙薬として用いられる | |
●鎮痛の常用薬で「一身上下の諸痛を治す」としている | ||
●頭痛、胸部痛、腹痛、脇痛、月経痛、関節痛、打撲損傷痛などの鈍痛には即効性があり、効果も確実である | ||
●神経痛、リウマチ、関節痛、生理痛などの痛みに多用する | ||
●お酢で修治(酢炒)すれば効力が良くなる | ||
●1日3~最大で5gを煎服する、粉末は1日1.5g | ||
【 出 典 】 | 廷胡索 気温、心腹卒疼、経を通し、血を活し、跌撲、血崩。(薬性歌) | |
延胡索は能く血中の気滯、気中の血滞を行らす。故に専ら身体上下の諸痛を治す(李時珍) | ||
延胡索(宣活血理気)。辛苦而温.入手足太陰(肺脾)厥陰(心包肝)經.能行血中気滞.氣中血帯.通小便.除風痺.治気凝血結.上下内外諸痛.(通則不痛).癥瘕崩淋.月候不調.気血不和.因而凝滞.不以時至.産後血運.暴血上衝.折傷積血.疝気危急.為治血利気第一薬.然辛温走而不守.(独用力迅.宜兼補気血薬).通経墜胎.血熱気虚者禁用.根如半夏.肉黄小而堅者良.酒炒行血.醋炒止血.生用破血.炒用調血.(本草備要) | ||
【 備 考 】 | ●成分にアルカロイドを含むので用量には注意が必要 | |
●ジロボウとは次郎坊のことで、伊勢地方ではスミレを太朗坊と呼ぶのに対して呼ばれる。子供たちが互いに太朗坊、次郎坊の花を絡ませ引っ張り合って遊んだ | ||
●中国産が殆どでC.bulbosa、C.ternata、日本産にはジロボウエンゴサク(画像㊧)とヤマエンゴサク(画像㊥)C.linearilobaがあるが産量は極少量ほとんどゼロ | ||
【 処方例 】 | 安中散、折衝飲、牛膝散 |