【基原植物】 |
ホソバオケラAtractylodes lancea
シナオケラA.lancea var. chinensis、 オケラA.japonica |
【 生薬名 】 |
蒼朮ATRACTYLODIS LANCEAE RHIZOMA |
【 科 名 】 |
キク科Compositae |
【 別 名 】 |
サドオケラ(江戸期には佐渡で栽培されたのでこの名がある) |
【薬用部位】 |
根茎 |
【 主成分 】 |
セスキテルペン類およびポリアセチレン類からなる精油(アトラクチロン、アトラクチロール、アトラクチディン)、VA(煎液には含有せず)、VD |
【薬理作用】 |
蒼朮の水性エキスを家兎やガマにあたえると、血糖値抑制作用があり、少量ではわずかに血圧上昇ね大量では下降する。またわずかな利尿作用がある。ガマの心臓に対しては拍動数の減少を来し、血管拡張作用がみられる。蒼朮の精油は少量で鎮静作用があり、わずかに反射機能の亢進が見られる。大量では中枢麻痺作用がある。また蒼朮の精油には防黴作用が在。 |
【 薬 性 】 |
性味‥苦辛温無毒、帰経‥入脾胃二経 (常用薬剤選輯) |
【 功 效 】 |
燥湿健脾・発汗・利尿・逐痰・芳香健胃 (常用薬剤選輯) |
【 主 治 】 |
脾湿中満・嘔吐泄瀉・浮腫腹脹・食慾不振・風寒濕痺・痿擘雀盲・婦人冷気癥瘕・腸風帯濁 (常用薬剤選輯) |
【 効 能 】 |
●大和本草には『白朮』は脾胃を強くして飲食を進め、虚を補い、汗や瀉を止めるとし、『蒼朮』は汗を発し、風寒湿を去り、気を下し、痰食水を消すと両者の違いを述べてある |
●消化管及び皮下組織中に起こる水分の不全に対し、利尿、発汗を促し、漢方でいう水毒を除く要薬として、腎臓機能の減退による利尿の減少または頻数、身体疼痛、胃腸炎、浮腫などに応用する。 |
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●単独では使わず漢方処方に配合して使う、1日量は3~6g |
●胃腸症状があまりなく、水分代謝異常からくる浮腫、しびれ、痛みに用いる、白朮は補脾・健胃整腸に用いる点が違う |
●生薬は寒くなると成分の結晶で白くかびの様(ヒネソールとβ-オイデスモール)に真っ白に覆われます。良品ほどたくさん出ます、又、暖かくなると次第に消失します。初めて生薬に接した時には驚きました。中国では生産者は買い取りの時にたたかれて安値をつけられるそうです。 |
【 備 考 】 |
●以前は区別せずに使っていたが、第8改正日本薬局方で初めて白朮にはオケラ、蒼朮にはホソバオケラが規定された |
●朮を蒼朮、白朮に分類したのは陶弘景が初めてである。 |
●実際には江戸期に大陸から蒼朮がもたらされた時から漢方家は、きちんと使い分けしてきている |
●蒼朮を火の上で燻べ、この煙を湿った室内に充満させると、湿気は一掃され、しかも畳の表もさらさらになるので、昔は梅雨時の湿気取りとして利用していた細野史郎著「方証吟味」。昨年の梅雨にこのような使い方をすると買いに来られた方があり、調べたところ、上記の記載を見つけました |
【出 典】 |
朮ジュツ.一名山薊.味苦温.生山谷.治風寒濕痺死肌.痙.疸.止汗除熱.消食.作煎餌.久服輕身延年不飢. (神農本草経上品) |
【処 方 例】 |
越婢加朮附湯、桂枝加朮附湯、平胃散、三妙丸、越鞠丸など。 |