鹿 茸 
馬鹿茸 花鹿茸 ?鹿茸 鹿茸片切り
ばろくじょう  かろくじょう  かんろくじょう   
画像は原色和漢薬図鑑より引用    ウチダ和漢薬(当店)

 

生薬和名 ロクジョウ  CERVI PARVUM CORNU
出典 神農本草経
基原 脊椎動物門、哺乳綱(Mammalia)、偶蹄目(Artiodactyla)、シカ科(Cervidiae)の馬鹿および梅花鹿(花鹿)の雄鹿のまだ角化していない、もしくは、わずかに角化した幼角(袋角)を乾燥したものでそれぞれ、馬鹿茸、花鹿茸と呼ぶ。
   原動物
(1)馬鹿(赤鹿)、
(八叉鹿ともいう)
・Cervus elaphus
  (C.elaphus var.xanthopygus  難波恒雄の説)
・アカシカ、マンシュウアカシカ、アジアシカ
(2)梅花鹿(花鹿) ・C.nippon
  (C.nippon var.mantchuricus 難波恒雄の説)
・アカシカ、マンシュウジカ、ニホンシカ
(3)その他     現在日本に輸入されている、中国産、シベリア産のものは以上の二種に限られている
中国ではこの他に同族の
   ・C.unicolor   水鹿(黒鹿、春鹿、羊鹿) 〜春茸
   ・C.albirostris  白脣鹿(岩鹿) 〜岩茸
   ・C.macneilli   白鹿(草鹿) 〜草茸
の袋角も鹿茸として使用されているが、天然物で産量は極少である。
産地 中国(東北、河北、吉林、遼寧などに主産)
ロシア(シベリア)
最近は中国産、シベリア産以外にニュージーランド産、アラスカ産などの鹿茸があるが、これらは原動物が異なり偽物であるという指摘もある。
採集 鋸で茸角の基部から切り落とす「鋸茸」と頭蓋骨を付けたままの「S茸」とがある。
原動物の違いからそれぞれ「馬鋸茸」「馬S茸」、「花鋸茸」「花S茸」と称す。
(1)「鋸茸」
(きょじょう)
雄鹿の生後3年目の若い鹿から採集し始め、毎年1〜2回採る。
・年2回採集の場合
  1回目は清明説(4/5または4/6)の後40〜50日の頃で、頭荏茸と呼ぶ。
  2回目は立秋(8/8または8/9)の前後で二荏茸と呼ぶ
・年1回採集の場合
  7月下旬
(2)「?茸
   かんじょう
この方法は現在あまり用いられない。生後6〜10年の年老いたもの、病気のもの、あるいは狩猟などで死亡したものに適する。6〜7年に採集。1回限りのものであり、大変高価であるが故に、現在はこの様な商品は殆ど作られていない。
    形状
雄鹿は生後2年目の3〜4月頃から袋角が生え始め、その後毎年春になると鹿角の基部である花盤が脱落し、そこから俗に「磨臍(ませい)」と称する袋角が新生する。磨臍は急速に成長し、
   45日程で約10p(これを鞍子(あんし)という)
   55日程で約15p(「二杠」または「二岔茸」)
   70日程で約20〜30p(「三岔茸」)
程になる。三岔茸は通常二個の側枝があり、側枝の数により四岔茸、五岔茸と称す。
中国ではこの様に鹿茸の成長の度合いによって、種々の商品名が付けられており、商品規格、価格が異なっている。日本に輸入されているものは、一般に花鹿茸では二杠、三岔、馬鹿茸では四〜五岔が普通である。
 全長は馬鹿茸では70〜80p、花鹿茸では20〜30pである。
(1)花鹿茸(花茸、黄毛茸とも言う)
(1−a)花鋸茸 ・二杠・・・枝別れ1回のもの。
主幹を「大挺(だいてい)」とよび高さ14〜20p、切口の直径3p。切口から3pで技別れし、分枝は10〜15p直経は主幹よりやや細い。
外皮は赤褐色or褐色で光沢がある。
表面は赤黄色か黄褐色の緻密な茸毛で覆われ、上部はやや密生、下部はやや疎生
分枝した所は灰色の筋脈が1本あり、皮がぴったりと付いている
軽く、切口は白く、蜂の巣様の細穴があり、外周は骨質化していない
生臭く、味はわずかに塩辛い
・三岔・・・枝別れ2回のもの。
主幹は24〜30p、直径はやや細く、多くは丸くなく、湾曲した弓型を呈す。
後方にやや傾斜、先端は少し尖りこ下部には縦の稜(かど)があることが多い。
稜を起筋(ききん)とよぶ。
下部には更に突起した瘤があり、これを骨豆(こっとう)or釘(くい)と呼ぶ。
皮は赤褐色で毛はまばらでやや太い。
二荏茸…頭荏茸と似ている.
主幹が長く丸くなく、下部太く上部細い下部に縦筋の稜がある。
毛はやや太く、重く、生臭い。
(1-b)花茸 鋸茸と同様、二杠、三岔などに分けられる。
(2)馬鹿茸(青毛茸)〜形は花鹿茸より大きく、分枝も多い。
(2-a)馬鹿茸 ・単門・・側枝1本のもの
長さ23〜27p、直径3p
皮は灰黒色、毛は青灰色or灰黄色で、光沢があり細く柔らかい.
断面の外皮やや厚く灰黒色で中央は灰黄色、細かい蜂の巣様の穴が少しある.
生臭く、わずかに塩辛い。
・蓮花・・側枝2本のもの
主幹部16〜33p
下部に稜あるが質は若く、断面の蜂の巣様の穴やや大きい.
・三岔・・・側枝3本のもの
  質比較的古く皮色は濃い.
四岔・・・側岔4本のもの
毛が太くまばらで主幹の下部には稜と瘤ある.
分枝先端は滑らかで丸く「捻頭(ねんとう)」とよぶ
・更に多く分枝しているものもあるが、蓮花、三岔、四岔が主である.


   【品 質】
◆花鹿茸 大きく、主幹が円く、先端がふくらみ、柔らかく、毛が細く、皮が赤褐色で油気あり、艶があるものが良品である。主幹が細く、下郡に筋があり、毛が太く、重いものは品質が劣る。

◆馬鹿茸
大きく、軽く、下部に稜がなく、断面が蜂の巣状、組織が密で、灰黄色のものが良品である。縮んでいて、毛が太く脱けていたり、重く、下部に筋があり、断面が灰赤色のものは品質が劣る。毛がほとんど脱落し、灰白色で、あるいは下部が瘤状に隆起し、内部は灰白色で、重く、すでに甘質化しているものは薬用にならない。
  中国東北産のものを「東馬茸」或いは「関馬茸」と呼びかなり良質。
  中国西北産のものを「西馬茸」と呼び、品質はかなり劣る。
これら鹿茸は毛を焼いた後に削り取って、酒に漬けて柔らかくなってから、包丁や押し切りにて薄片にして用いる。
「頭妙」〜先端部の柔軟な血斑のあるもので、品質最良である。
下部になるにつれ「二砂」「三砂」「四砂」といい、四砂は劣品で大部分が骨質化している。
日本に輸入される鹿茸は需要の関係で大部分が「馬鋸鹿」である
馬鹿茸は長さ約80p、5分枝しており、全体が茶褐色の短い毛で覆われている。
花鹿茸は長さ約25p、12分枝し、全体が黄褐色の短い毛で覆われている。
薬舗では、これらを三等分して、先端から、上台、中台、舌台と称して販売する。
上台は品質良好でとても高価である。鹿茸の価格はこの部分の価格で決まるとさえ言われている。
  【処 置
◆鋸茸は、 切り取った鹿茸は内部に血液を多く含み、腐敗し易いので速やかに加工せねばならない。まず切り口を糸で縫って、台上に固定する。次に熱湯中に3〜4回、1回15〜20秒つけ角中の血液を洗い流す。色が淡くなり、切口から白泡が出来、卵黄の様な臭いがするまで繰り返す。全行程に2〜3時間を要す。その後、日干しする。1〜2日経て更に数回、同操作を繰り返す。最後に30日間風に当て完全に乾嬢させるか、火に灸って乾燥させる。形を整え密閉した木箱に蓄える。
◆S茸では、 頭部の筋肉、眼球、脳、皮などを除去し、後は鋸茸と同様に商品化する。
 【鹿茸の品質鑑定】
漢方薬局での実際、鹿茸の取扱いについての考え方や品質、鑑定等について紹介する。
 最近の鹿茸は、東京、大阪の問屋から入荷したものは主として、ロシア産の馬鹿茸で体重200sで梅花茸より大分大きく、従って、薬用の鹿茸も幼角(袋角)が三段に枝分れして、更に4〜5側枝に分れている。これは、雄鹿の生後2年目から袋角が生え初め、約2ケ月余りで枝分かれして成長するが、血液が袋角に栄養を送って成長するので、前述の如く処置をした後も、血液の色が残り、その最先端部で血の色が濃く、茶色で角の細胞組織が巣状で柔軟な部分は特別に、指で押しつぶすと粉状になる。約10cmが最も薬用成分が多いので最高級品とされ、下部になるにつれて白く角化して来たのが下級品と評価されている。
 調製時に最も血の色の洗い先端部から3分し、上台、中台、下台と呼び流通している。
 上台は上記の如くですが、中台は茶黒色(血液の色)は中位で組織が少し疎く、巣状になっている。下台の中央は茶黒色部が淡く赤褐色で周囲から白くなって最下部は白色骨化して薬用成分は少なくなっている。
鹿茸修治
・調製法


薬局における
実際の
調整作業
調製を要する部分を、薬用として使える様にする為には、なるべく煎出が可能な約1〜2mm位に薄く切る必要がある。固いものに打ちつけると「カンカン」と音がする位短いもので之を調製するには次の修治、調製法が必要である。
調製部分(長さ約70cm太さ約8cmのもの)を使う
(1)表面の5cm位の比較的柔らかい粗毛を強火(ガスバーナー、アルコールランプ等)で短時間に毛焼きをする。(毛が焼けるので異臭が出るから通風を良くしておく)
(2)焼いたあとの部分を、固いもの「ガラス」「瀬戸物」「包丁の裏」等で削り取って表面をキレイに掃除する。
(3)出来たものを日本酒約1升に、適当な長さに切って容器に入れ鹿茸を全体的に酒につけて一晩放置する。(最した日本酒を少量づつ服用している人もある。)
(4)酒から取り出した鹿茸(軟くなった状態のもの)を固定し、生薬切断用の押切り器で約2mm位に薄く切る。切る状態は、予想外に、特に上台は柔らかくサクサクと切れるが、下台になると次第に固くなり切れにくく力が要るが時間はあまりかからない。
(5)生臭い臭いが拡がるので蠅除けをして天日でカラット早く乾繰させたら出来上がりである。(日本酒の代わりに、山羊の乳汁に浸す方法もある。)


【確認試験】 (1)本品1g各に希エタノール10mlを加え、水浴上で加温し濾過する。ろ液3mlに濃硫酸1〜2滴加えて煮沸する時黄色を呈する。これに水酸化ナトリウム試液を如えてアルカリ牲とする時、液は透黄色となる。
(2)(1)のろ液3mlに水教化ナトリウム試液3滴を加え、硫酸銅試液1〜2滴を加える時、液は赤紫色を呈する。
【成 分】 灰分 40%以下
エタノールエキス 2.0%以下
コラーゲン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、タンパク質からなる。
一般分析値では、水分10%、有機物50%、水溶牲エキス10%、アルコールエキス1.5%、エーテルエキス1%、灰分約35%、有機物中には25種のアミノ酸(プロリン、リジン、アラニンの含有量が多い)がある。灰分中には、「Ca」「P」「Mg」が知られている。良品ほど有機物、水溶液性エキス、アルコールエキス、エーテルエキス含有量高く、灰分合有量少ない。又、卵胞ホルモンを含むという報告もある。
【薬理作用】 (1)鹿茸25〜50%加えた食餌で飼育したマウスのは、対象に比べ体重増加し、これは添加する鹿茸の量にほぼ匹敵する。
(2)鹿茸の粉末を一定量経口投与、及び、水性エキスを覆空内投与した場合、投与後一定期間にわたって血球、特に赤血球が認められ、同時に血色素もこれに平行して増量し、また網状赤血球も増加する。この現象は投与量にほぼ匹敵する。発育促進並びに造血機能促進作用がある。
(3)ソ連国立分泌研究院のPavlenkoらは、鹿茸の70%アルコール抽出エキスからPantocrim(パントクリン、鹿茸精)と称する製剤を創製し薬理・臨床面で検討している。薬理効果として、
(1)副交感神経末梢部の緊張亢進
(2)神経、筋系の機能改善
(3)内分泌系の機能亢進をあげている。臨床的には、
(1)心臓血管ならびに心筋に特異的に作用し、心臓機能を常態に回復させる
(2)消化器官系統の機能促温
(3)腎臓機能の促進
(4)筋肉の疲労回復
(5)精神神経緊張症、神経衰弱及び感受性の強い人に対し、その神経系統に鎮静的及び強壮的に作用する
(6)精力滅退、無気力症に対し、性機能の回復促進
(7)腫物や傷の肉芽発生と治癒躍進などの作用がある事を報告している。
【帰 経】 肝、腎の経に入る。
【薬性】 甘鹹温、無毒
鹿茸は、その薬性が温であるが柔らかで、血肉の情があり、「黄帝内経」に「形足らされば、気を以って之を温め、精足らざれば、味を以って之を補う」とある。
   【効 能】
神農本草経 「漏下悪血、寒熱驚癇を主気を益し、志を強くし、歯を生じ、老いず」
本草網目 「精を生じ髄を補う、血を養い陽を益す、筋骨を強め健やかにする。
いっさいの虚損※、耳聾、目暗、めまい、虚痢を治す」
薬牲論 「男子腰腎虚冷を補う。脚膝無力、夢交(夢精)、精益自出(精力盛んによる遺精)、女人崩中漏血を主る」(
中医大事典 元陽※を壮んにする気血を補う、精髄を強める、の効能がある。虚労羸痩、精神疲労、めまい、耳聾、目暗、腰膝酸痛、陽萎、滑精、子宮虚冷、崩漏、帯下を治す」
◆元陽(腎陽に同じ)とは命門の中にあり、先天の火で腎臓の生理作用の原動力であり、人体の熱の源泉であるといわれる。
◆鹿茸は血肉の精であって、能く人の陽を養い、腎命を補い骨を堅くし、髄を補い、精を益し、血を養う物質である。虚したる者を補い、損じたる者を培い、絶したる者を、怯みたる者を強くし、寒なる者を暖める効がある。凡そ、真陽の増血衰微した一切の虚損の症に用いられる。
◆温腎、益火の効は附子や肉桂と同じであるが、附子、肉桂は薬牲の温が烈しく、単味で陽を回らし、逆を救う。鹿茸は牲は温であるが、柔らかで血肉の情があり、気血を養う薬物である。
◆虚損とは、七情労倦、飲食や酒色に破られ、あるいは病後の失調で、陰陽 気血、臓腑が損傷されて起こる病気である。その病状は複雑であるが、主に気虚、血虚、陽虚、陰虚に分類される。陽虚による病状は、脾腎の虚損によるものが多い。
虚損の治療は補陽でこれは温補の一法である。補陽(助陽ともいう)は、心陽虚、脾陽虚、腎陽虚等の違いがあるが主として腎陽虚を対象にしている。腎陽が衰微すると−心の陽気が皆虚する。腎陽虚の症状としては、「飲食減少し、大便薄く又は不消化便、腰膝力なく痛み、精神疲労してだるく、寒がり、四肢冷たく、陽痿して精泄れ、小便は頻数清長で、顏色蒼白、舌淡く白苔があり、脈は沈細或は沈遅である。」
 又、虚弱の程度が重くなったものを腎陽衰微(命門火衰)といい「上述の症状が重くなり、更に精神萎靡、腰痛、脊冷、鶏鳴泄瀉あるいは浮腫、脈沈遅微弱」等である。
補陽薬は一般的に陽事を壮健にし、精髄を補い、筋骨を強める作用がある。補陽薬の代表的なものは、鹿茸、蛤、肉L蓉、杜仲、淫羊?等である。(漢方用語大辞典)
【用 途】 強壮、強精 鎮痛薬として、インポテンツ、頭暈、耳鳴り、腰膝の痿弱、虚寒証の帯下、慢性病の虚損等の症に応用する。
陽痿、滑精、精液の漏洩。
虚寒による崩漏、白色帯下や不妊症、月経不順、子宮虚冷、直前産後の滋養。
小児の発育不良 心不全による動悸、貧血、病後の衰弱。
精神疲労、虚労羸痩、四肢冷感、足腰の冷たい様な痛み。
筋肉や皮膚の傷口の癒合の促進。傷口の新陳代謝を強め、肉芽組織の増生を促進する。
近年、むち打ち損傷に対し、適応されている。(頭部、頸部、脊椎損傷による頭痛、頭重、項頸部痛、肩腕痛、腰背痛、眩暈、ふらつき、四肢のしびれ、易疲労感、脱力感、不眠等)
自律神経失調症、低血圧症、更年期障害にも用いられる。
等々多くの文献によれば、広範囲に活用されて来た実績の報告がある。


 【処方例】
黒丸
(済生方)
精血耗竭、面色テ黒(土色の額面)、耳聾目昏、口乾多渇(口渇)、腰痛脚弱、小便白濁、上燥下寒、不受峻補の治療。
・酒に浸した鹿茸と酒に浸した当帰を同量細い粉末にし、烏梅を煮た軟膏と混ぜ合わせて梧桐子大に丸める。1回50粒ずつ空腹時に重湯にて服用する。
茸附湯
(世医得効方)
精血倶虚、栄衛耗損(血行不順)、潮熱自汗、驚悸(驚きによる動悸)、肢体倦乏、いっさいの虚弱の症状の治量。
・酒で蒸した鹿茸、強火であぶった附子各1両を細く切り、4回に分け、水2盞に生姜10片と共に8分になるまで煎じ、かすを去り、食前に温服。
鹿茸酒
(普済方):
虚弱陽事不挙(身体虚弱により性行為が出来ない)、面色不明(血色がない)、頻尿、飲食不思の治量
・皮を去り、切った良質の鹿茸5銭、大量投与の場合は1両、乾燥山薬の粉末1両、これらを薄い絹の布で包み、酒に7日間潰し、その酒を1日3盞ずつ飲む。酒がなくなったら鹿茸をあぶって乾嬢させ補薬として用いる。
(証治要訳) めまいのひどいもので、頭を上げると家が回り、目は常に黒ずんでかすみ、物が飛んでいる様に見えたり、1つのものが2つに見えたりする症状の治療。
・鹿茸を1回に半両ずつを無灰酒3盞で1盞になるまで煎じ、かすを除去し、麝香少量を加え温服する。
鹿附湯
(温病条弁)
湿久不治、伏足少陰、舌白身痛(白舌及び身体の疼痛)、足g浮腫(g骨の浮腫)の治療
・鹿茸5銭、附子3銭、草果1銭、菟絲子3銭、茯苓5銭、水5杯→2杯に煎じ、1日2回服用。カスは更に水1杯で煎じ服用。
鹿茸丸
(太平聖恵方)
小腸虚冷、小便数多(頻尿)の治療。
・酥でやや草色くなるまで灸った鹿茸2両、焼いた白竜骨1両、軽く炒った桑Q蛸3分、軽く炒った椒紅1両、強火であぶった附子1両半、山茱萸1両、これらを粉末にし、蜜で梧桐子大に丸め、1回20拉ずつ夕食前に塩湯で服用。
(千金方) 崩中漏下、赤白不止(止まらない赤白帯下)の治療
・鹿茸18銖、桑耳2両半を酢5升につけたあと灸って乾燥、ふるいにかけて1日3回、1回方寸匕ずつ服用。
白迴丸
(済生方)
室女衝任虚寒、帯下純白の治寮。
・酢で蒸してからあぶった鹿茸2両、白迴1両、毛を焼いて取りのぞいた金毛狗脊1両、これらを細粉末にし艾を酢で前じた汁と糯米をつき、のり状にしたものを混ぜ合わせ梧桐大とする。1回50粒を、空腹時に温酒で服用。
鹿茸散
(古今録験方)
尿血の治療
・あぶった鹿茸、当帰、乾地黄各2両、葵子5合、蒲黄5合、これらを散にする。1日3回、方寸匕ずつ洒で服用。蕪「艸+夷」を忌む。
香茸丸
(首一選方)
下痢危因(下痢による危篤状態)の治療
・麝香半銭(他の薬剤とは別に研り、必要時に配合する)酥で灸った鹿茸1両、鹿茸を細末とし、麝香を加え、ランプの火で煮た棗の肉と混ぜ梧桐子大とする。1回50粒ずつ空腹時に服用する。
鹿茸大補湯
(虚弱)
日本でよく使用される。
・効用は、病後等で体力が衰弱し、手足がだるく疲れやすい。食欲不振、風邪を引き易い、寝汗が出る等のものに体力回復の目的で。又、婦人貧血等に用いる。
・鹿茸2、黄耆2、当帰2、茯苓2、熟地黄2、肉K蓉2、杜仲2、芍薬1、白朮1、人参1、肉桂1、半夏1、石斛1、五味子1、甘草0.5g
参帰茸湯(サンギョン湯)(痘瘡) ・在日韓国人の人達に愛用され、とても好評な強壮、強精剤
・人参10匁、当帰5、鹿茸5匁 (1匁=3.75g)
【副作用】 胃腸障害、皮膚発赤、掻痒感、月経期間の延長、のぼせ感、悪心、鼻出血、頭重など
重篤な副作用は報告されていない。
  【禁 忌】
(漠薬の臨床応用) 元気が旺盛のもの、陰虚陽高のもの、感染症状が残っている(外感未清)とき、熱象があるとき。
中薬大事典
(神鹿本草経)
腎虚有火の者(消化機能衰弱により火のあるもの)、(用いるとかたよって陽を補うから)
中薬大事典 上焦に痰熱があり胃に火のあるもの
中薬大事典 吐血、下血、陰虚火熾の者はすべて服用してはならない。
原色和漢薬図鑑 陰虚血熱の諸症には用いてはならない。
漠薬の臨床応用 一般に高血圧に使用しない方がよい。
眩暈や四肢のしびれを伴う腎牲の高血圧によい。
【用法、用量】 0.5〜3g、1.5g位の使用が多い。5〜6g以上は使用してはならない。
削って粉末にして服用する。或いは丸剤か散剤にして用いる。酒浸してもよい。
鹿茸が入手しにくい場合には鹿角霜か鹿角膠で代用する。鹿茸片を肉や当帰等と煮込んでスープや煮物(薬膳料理)として食べてもよい。
【まとめ】 中国では古来から、例えば枹朴子に「牡鹿一匹はよく牝鹿数百頭と遊ぶ」として、鹿は精力の強い動物と信頓されて来た。「神農本草経」に漏下、悪血寒熱、驚病を主治し、気を益し、志を強化し、歯を生じ老いず」との主張があり、鹿は千年も長生きするという。最近「健康で長生き」がしたいとの全国民的要望に最も応える漢方薬物の一つとして、人参等と強壮、強精剤として応用を研究する必要がある。
例えば
(1)健康な者は身体強壮、病気の予防に。小児は発育を促し、抵抗力を増す。
(2)青壮年者は健康維持に。
(3)中年者は、強壮と老化予防に。
(4)老人は身体の弱った部分を補い、全身を暖める。
(5)この様に健康な老若男女の健康維持に使える。


  参考文献一覧
1 意釈神農本草経 浜田善利、小曽戸丈夫著 築地書館
2 本草経集注(集注本草) 陶弘景者 横田出版
3 私語本草綱目 岡本一抱著 東京春陽堂版
4 用薬須知 松岡玄達原著、阿場恒雄編集 漢方文献刊行会同済号書房
5 最新和漢薬物学 日野五七郎 一色直太郎合著
6 訂増和漢薬考 小泉栄二郎著 生生舎出版
7 天然薬物辞典 奥田拓男編 廣川書店
8 新訂和漢薬 赤松金芳著 医師薬出版(株)
9 和漢薬物学 高木敬次郎・木付正康、
原田正敏、大塚恭男
南山堂
10 原色和漢薬図鑑 難波恒雄著 保育社
11 漢方医学大辞典−薬物編 人民衛生出版社 (株)雄渾社
12 漢薬の臨床応用 中医学院編 神戸中医学研究会
13 中薬大辞典 上海科学技術出版社 小学舘
14 公定書外生薬の規格及び試験方集 薬事研究会編
15 ウチダの生薬資料   (株)ウチダ和漢薬
16 図説漢方医薬大辞典
(中国薬学大典)
陳存仁著 講談社
17 四川中薬志第一巻   四川人民出版社
18 中国薬用動物志   天津科学技術出版社
19 新編薬物学 陳新謙主編 人民衝生出版社
20 現代本草中国薬剤学(下)   啓業書局印行
21 青蔵高原植物図鑑 青海省生物研究所・同仁県隆衛生所 青海人民出版社
22 山東薬用動物 妃加叉赴五清編著 山東料学技術出版社
23 漢方用語大事典 創医会学術部主編 燎原
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