生薬「水蛭」



【基原動物】  ウマビル Whitmania pigra
チャイロビル W. acranulata 
チスイビル Hirudo nipponica
【 生薬名 】 水蛭 HIRUDO
【 科名 】 ヒルド科Hirudidae
【 別名 】 馬鼈マベツ、虫馬虫皇マコウ、肉鑽子ニクセンシ、沙塔干シャトウカン、馬虫其マキ、馬蛭マテツ、吸血虫など
【薬用部位】 全乾燥体
【 主成分 】 抗凝血素hirudin、heparinなどの凝血抗素、抗血栓素など
 【 薬 理 】 水蛭エキスは催リンパ作用が強大である。hirudinを注射した家兎の血液は、長時間流動性を保ち、これから分離した血漿、血球、throminなどは、これにfibrinogenを添加しても凝固しない。即ち水蛭には血液凝固抑制、溶血作用がある。
新鮮なものはhirudinを含むが乾燥品では破壊されている(漢薬の臨床応用)という文献もある
【 薬 性 】 気味は鹹苦平、有毒、帰経は肝・膀胱に属す
【 効 能 】 ●水蛭は専ら血を破り、癥を消す作用があり、血病を治す専門薬である。結滞閉経、瘀血、癥瘕積聚などの症に桃仁、三稜、莪朮、当帰などを配合して応用するほか、打撲による内出血、疼痛および大便不通に大黄、牽牛子とともに用いる。
●破血逐瘀
●駆瘀血・通経薬として、癥瘕、積聚、少腹畜血、閉経、打撲傷などに用いるほか、癰腫、丹毒の治療に応用する。
●鬱血部の吸血に生きた水蛭を用いる
●破血とは畜血や瘀血を循環血液中に吸収するか大便として排泄するのをいう
●ガンに試験的に使用(max2~3g)、観察を続ける必要あり
●煎液には0.6~1.5g、散剤では0.1~0.2(max0.5~0.8)
【 備 考 】 薬力が激しいので邪実だけに適応すること
内服にはオ血症で実証でない虚弱者、妊婦、出血傾向の者、貧血のものなど禁忌である
【 出 典 】 ●水蛭.味鹹平.生池澤.治悪血瘀血月閉.破血瘕積聚.無子.利水道.(神農本草経・下品)
【 処方例 】 抵當湯、奪命散、地黄通経丸など