小建中湯

〔出典〕

傷寒論

太陽病中篇
104.傷寒.陽脉.陰脉弦.法當腹中急痛.先與小建中湯.不差者.小柴胡湯主之.
107.傷寒二三日.心中悸而煩者.小建中湯主之.

金匱要略

血痺虚労病篇第六
  ・虚勞裏急.悸.衄.腹中痛.夢失精.四肢疼.手足煩熱.咽乾口燥.小建中湯主之.

黄疸病篇第十五
  ・男子黄.小便自利.當與虚勞小建中湯.

婦人雑病篇第二十二
  ・婦人腹中痛.小建中湯主之.

〔構成〕
〇桂枝三兩.去皮.甘草二兩.炙.大棗十二枚.擘.芍藥六兩.生薑三兩.切.膠飴一升.
〇右六味.以水七升.煮取三升.去滓.内飴.更上微火消解.温服一升.日三服.
 嘔家不可用建中湯.以甜故也.

(桂枝3.生姜3.大棗3.甘草1.芍薬6.膠飴13)


〔方意〕
・腹中急痛し(応鐘)或は拘攣する者は此れ其の正証なり、若しそとに閉の証あれば則ち
 此の湯の主治する所にあらず。(方機)
・衂し(解毒)失精下血(応鐘)の人腹中攣急し或は痛み、手足煩熟する者。(方機)
・産婦にして手足煩熟し咽乾き口燥ぎ腹中拘攣する者(応鐘)若しくは塊ある者(夷則)(方機)
・裏急し、腹皮拘急及び急痛する者を治す(方極)
・桂枝加芍薬湯証にして、腹中、及び腹皮急痛する者を治す(方極附言)
〔病位〕太陰の準位で虚証(陽虚証にも、陰虚証にみえるときにも、使える)
〔脈侯〕浮弱または沈弱、ときに
〔舌侯〕多くは無苔、ときに湿潤した薄い白苔、ときに乾燥
〔腹侯〕腹壁は非薄で、多くは腹直筋全長に亘ってひきつる傾向があり、
    これを按ずれば痛みを覚えるが、腹のただ軟弱無力なこともある


〔応用の勘所〕
・腹痛、煩悸、腹直筋の異常緊張ないしは軟弱無力、貧血傾向、易疲労。
〔鑑別〕黄耆建中湯。当帰建中湯。小柴胡湯。炙甘草湯。芍薬甘草湯。四逆散。甘麦大棗湯など。
〔応用〕
・胃下垂症、胃ないしは十二指腸潰瘍。慢性便秘もしくは急性・慢性の下痢。
・神経性心悸亢進。夜尿症。夢精。衂血。新生児のヘルニヤ。腺病質。諸種の衰弱性疾患。
・肺結核、肋膜炎の軽症または恢復期で疲労倦怠あるいは微熱、食欲不振、盗汗あり、
・咳痰などの呼吸器症状がほとんどないもの。
・気管支喘息、肺気腫で息切れ、疲労、あるいは動悸するもの。
・心臓弁膜症、動脈硬化症、高血圧症、低血圧症で疲労感、動悸、息切れ、軽いめまい、
 背痛などを訴えるもの。
・胃酸過多症、胃酸欠乏症、胃運動亢進などで虚証体質。
・急性肝炎後、肝硬変症で虚満、食欲不振。胆石症。黄症。結核性腹膜炎。
・小児の夜啼症で腹痛あるかのごとく激しく啼き出すもの。小児の消化不良で腹満、
・無熱または疫痢様で高熱、腹満、粘液膿性の消化不良便を出すもの。
・どもりで腹直筋や首から背中にかけて筋肉が筋ばるもの。
・脚気で脚がだるくて、ほてり、ふくらはぎが張るもの。
・夏まけ、夏やせで手足がだるく、ほてり、疲れやすく食欲なく息切れや動悸しやすいもの。
・糖尿病で疲れやすく、口渇、尿水不利の著明でないもの。
・扁桃腺肥大症、アデノイド、前立腺肥大症などで口渇足冷の著しくないもの。
・遊走腎で疲労、腰痛のあるもの。脱毛症で虚労のもの。虚証の子宮筋腫。
・虚証で発熱なきルイレキや痙部腫瘍。虚証の痔、脱肛、脊椎カリエス、紫斑病など。


虚労、裏急(広い)、動悸、腹痛
手足がほてりやすい、心煩、口燥、果物顔、食欲不振、腹全体に力がない
小便数、子供の夜尿症に良く用いる(尿量少ない)、夜無きにもよく使う
芍薬甘草湯の加味方でもある、平素より筋緊張傾向がある

子供の便秘に膠飴を使うと通じがつく、膠飴なければマルツエキスで代用しても良い
小児の臍部疝痛発作などに広く応用でき安全性も高

〔鑑別〕

小建中湯‥腹満ない
桂枝加芍薬湯‥腹満あり