９１．芍薬甘草湯

〔出典〕　傷寒論・太陽病上篇

29 　 傷寒脉浮．自汗出．小便數．心煩．微惡寒．脚攣急．反與桂枝．欲攻其表．此誤也．得之便厥．咽中乾．煩躁吐逆者．作甘草乾薑湯與之．以復其陽．若厥愈足温者．更作芍藥甘草湯與之．其脚即伸．若胃氣不和語者．少與調胃承氣湯．若重發汗．復加燒鍼者．四逆湯主之．

[30]. 問曰．證象陽旦．按法治之而増劇．厥逆．咽中乾．兩脛拘急而語．師曰．言夜半手足當温．兩脚當伸．後如師言．何以知此．答曰．寸口脉浮而大．浮爲風．大爲虚．風則生微熱．虚則兩脛攣．病形象桂枝．因加附子參其間．増桂令汗出．附子温經．亡陽故也．厥逆咽中乾．煩躁．陽明内結．語煩亂．更飮甘草乾薑湯．夜半陽氣還．兩足當熱．脛尚微拘急．重與芍藥甘草湯．爾乃脛伸．以承氣湯微溏．則止其語．故知病可愈．

〔構成〕

白芍藥．甘草各四兩炙．
右二味．以水三升．煮取一升五合．去滓．分温再服．
　　(芍藥４．甘草４．　湯、薬局製剤)

〔方意〕
・脚攣急する者（応鐘紫円)(方機)
・拘攣し、急迫する者を治す(方極)
・
〔病位〕太陰の準位で、虚実の間（虚に近い）
〔脈侯〕軟に近い
〔舌侯〕多くは湿潤、苔があっても薄い白苔
〔腹侯〕腹力やや軟で、両腹直筋の異常緊張がある

〔応用の勘所〕
・両腹直筋の異常緊張、横紋平滑諸筋の異常緊張および疼痛、四肢のひきつれ
〔鑑別〕芍薬甘草附子湯、小建中湯、当帰建中湯、黄耆建中湯、当帰芍薬散、大柴胡湯、
　　　　四逆散、桂枝加附子湯、桃核承気湯、烏頭湯など
〔応用〕
・実性症状少なく、虚性症状の多い各種疼痛性疾患で、両腹直筋の異常緊張を伴うもの。
・神経痛、リウマチ、各種腹痛、腎結石、夜啼症、子宮痙攣には膠飴を入れると効が多い

〔効能・効果〕薬局製剤

急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛　

虚実間、腹力中等度以下、手足の冷えがあれば加附子
激しい腹痛、筋肉の攣急、脚攣急、裏急
激烈な疝痛発作時に頓服として用いるex.月経痛
横紋筋、平滑筋ともに攣急を緩める

腓腹筋痙攣、座骨神経痛、腰痛、キヤリ腰、
腰脚の攣急で歩行困難の時に疼痛を緩解させ、
使っている杖を去る事が出来るので「去杖湯」ともいわれる