13.黄連湯


〔出典〕傷寒論《太陽病下篇》

・180 傷寒胸中有熱.胃中有邪気.腹中痛.欲嘔吐者.黄連湯主之.

〔構成〕

黄連三両.甘草三両炙.乾姜三両.桂枝三両去皮.人参二両.半夏半升洗.大棗十二枚擘.右七味.
以水一斗.煮取六升.去滓.温服.昼三夜二.疑非仲景方.
(黄連3.甘草3.乾姜3.桂枝3.人参2.半夏5.大棗3.)

〔方意〕

・胸中に熱あり、腹中痛み、嘔吐せんと欲する者。(方機)
・心煩して嘔逆する者(方機)
・心煩し、心下痞し、嘔吐せんと欲し、上衝する者(方極)
・心中煩悸し、心下痞硬して、上衝し、嘔吐せんと欲する者(方極附言)
・熱病、心下痞し、胸中煩熱し、心腹痛みて嘔吐せんと欲し、其人、頭に汗出で、心下悸して臥すこと能わざる者(医聖方格)

〔病位〕少陽の準位、虚実間
〔脈侯〕弦数、あるいは弦細、ときに緩
〔舌侯〕湿潤して滑、ときに微白苔
〔腹侯〕微満、比較的軟


〔応用の勘所〕腹痛、嘔吐、あるいは腹痛下痢、胃部膨満感、心中煩悶
〔鑑別〕三瀉心湯、時に甘草瀉心湯。小建中湯。柴胡桂枝湯。黄湯。六物黄湯。
     柴胡桂枝乾姜湯。四逆散。呉茱萸湯。など

〔応用〕

・胃腸炎、コレラ、消化不良、自家中毒、胆石、蛔虫、急性虫垂炎の初期などで嘔吐腹痛ともに著しいもの。
・胃酸過多症、胃潰瘍、胃癌、十二指腸潰瘍で胃部疼痛し、或いは嘔、囃、或いは吐血するもの。
・宿酔いで悪心、嘔吐、胸中不快で、或いは胃痛を伴うもの。
・胃下垂、胃アトニー症。歯痛、口内炎、口角糜爛、口臭などでのぼせ感があり、心下痞硬、足冷を伴う者。
・ノイローゼ、癲癇、血の道症などで心煩身熱し、あるいは頭痛、腹痛を伴うもの。
・肺結核で神経症強く、心煩、身熱するものなど。