93.十全大補湯

〔出典〕

『和剤局方、五巻治諸虚』

「治男子、婦人諸虚不足,五労七傷,不進飲食,久病虚損,時発潮热気攻骨脊、拘急疼痛、夜夢遺精、面色痿黄、脚膝無力、一切病後、気不如旧、憂愁思慮、傷動気血、喘嗽中満、脾腎気弱、五心煩悶、并皆治之。此薬性温不熱、平補有効。養気育神、醒脾止渇、順正辟邪、温暖脾胃。其効不可具述」

『勿語薬室方函口訣』

局方の主治によれば、気血虚すと云か八物湯の目的にて、寒と云ふが黄耆肉桂の目的也。又、下元(下焦)気衰と云ふも肉桂の目的なり。又、薜立斎(せつりゅうさい)の主治によれば、黄耆を用ふるは人参に力を合せて自汗盗汗を止め、表気を固むるの意也。肉桂を用ふるは参耆に力を合せて、遺精、白濁、或は大便滑泄、小便短少、或は頻数なるを治す。又、九味の薬を引導して夫々の病処に達するの意なり。何れも此意を合点して諸病に運用すべし。

『万病回春四巻補益』

「気血倶に虚し、発熱悪寒し、時間、盗汗、肢体倦怠し、或いは頭痛、眩暈、口乾き渇を作すを治す。又、久病、虚損し、口乾き、食少なく、咳して利せず、驚悸発熱、或は寒熱往来、盗汗自汗ね晡熱内熱、遺精白濁、或いは二便血を見し、小腹痛みを作し、小便短小、大便乾濇、或いは大便滑泄、肛門下墜、小便頻数、陰茎癢痛等の症を治す。」

『万病回春八巻癰疽』

「癰疽を治す。潰えて後、気血を補い、飲食を進むるに、実に切要となす。凡そ膿血出ずること多く、陰陽両虚するに、此の薬、廻生起死の功あり。但だ経絡を分たず、時令を載せず。医者、類に触れて之を長とすれば可なり。或は腫平らかに、痛み寛やかなるを見さば、遂に以て安しとなす。慢って省みることを知らざれば、補益調養の功なし。愈えて後、虚証復た見るれば、因って転って他病となり、危劇の者多からん。」「瘡瘍、気血虚弱、腫痛して癒えず、或は潰瘍、膿消し、寒熱、自汗、盗汗、食少なく、体倦、発熱、渇を作し、頭痛、眩暈して中風の状に似たるを治す。」


〔構成〕

人参  肉桂(去粗皮,不見火) 川芎 地黄(洗酒蒸焙) 茯苓(焙) 白朮(焙) 甘草(炙) 黄耆(去芦) 川当帰(洗去芦) 白芍薬各等分。
上一十味,剉為粗末。毎服二大銭,水一盞,生姜三片,棗子二個,同煎至七分,不拘時候温服。

四君子湯+四物湯+桂皮・黄耆
心身ともに虚し、全身倦怠で貧血、食欲不振、腹力・脈ともに軟弱
皮膚乾燥、消化器・循環器の機能低下、回復力低下が甚だしい
身体の一部に慢性の寒性炎症、熱症状はない
特に下半身の力がない、出血傾向、発汗
全身衰弱、全身倦怠、食欲不振などの全身症状(補中益気湯との類似点)
慢性の消耗性疾患
貧血・出血傾向、皮膚粘膜の糜爛・潰瘍、慢性の化膿巣の存在
抗ガン剤の副作用軽減「→食欲不振、倦怠感、貧血の防止」と
発癌抑制(早期の発癌阻止効果はある)、
第四期(末期)の延命効果あり
EBM‥肝硬変からの肝がん移行、術前自己血貯血